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「………夢の俺は気でも狂ってるんじゃないのか」
報告書にペンを走らせながら、俺は小さく呟いた。
まともな精神で『愛してる』なんて言えるわけがない。
そんなことを真顔で言える奴は絶対、頭がおかしいに決まってる。
だけど、夢に見たのは間違いなく俺だ。
きっと俺も、かなりおかしくなっているに違いない。
理由はわかっている。最初の日からわかっていたこと。
日夏に会えないせいだ。
だから毎晩毎晩、日夏を突飛な夢に登場させてはどきどきして、ますます会いたくなって――その繰り返しだ。
いや、繰り返しどころか、日に日に悪化していっている。
残り5日、耐えられる気がしない。
「日夏に会いたい……」
何度呟いたかわからないことを、俺はまたも口にする。
こんなに時間が経たない毎日は初めてだった。
(まだ昼なのか……)
ため息をついて、席を立つ。
どこかで昼ご飯でも食べて来よう。
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