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「うわああああっ夢か!!!よかったあああ〜〜〜!!!」
俺はベッドから跳び起きて、心臓を押さえた。
全身に汗をかいている。
なんてとんでもない夢を見たんだ。
しかも絶対、俺はあのあと死ぬ展開だったぞ……!危ないところだった。
それに、日夏が誰かに取られるなんて、夢でも我慢ならなかった。
思い出しただけで頭が痛くなってくる。
だけど考えてみたら、今の俺の立場じゃ、日夏があんな目に遭ったとき、ちゃんと守ることなんてできないんだ。
それこそ俺が王子か何かだったら、どんな奴が奪いに来たって怖くなんかないだろうけれど。
もし俺が王子だったら、日夏が姫か。
―――いいな。日夏姫。可愛い。
「って何考えてんだ俺!!!」
自分の思考回路が意味不明だ。
きっと慣れない街で疲れが出ているんだろう。日夏に会えないし。
ぼうっとして変なミスなんかしてしまわないように、今日は気を引き締めないといけない。
冷たい水で顔を洗うべく、俺は立ち上がった。
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