短編そのた | ナノ


▼ 

部屋はしばらく沈黙に包まれた。

それを破ったのは、一人の男が立ち上がる音。

「私は、国王陛下の描く未来に、お供致します」

まだ年若い、カザミという名の隊長だった。


それを合図にするように、若い者から順に立ち上がり、最後には古参の者たち――将軍を含めた全員が、立ち上がってくれたのだった。



それからの日々は、嵐のようで、私は彼女の出産にさえ立ち会えなかった。

生まれたのは男の子で、私たちはカズマと名付けた。


この子が拓く、さらに先の未来のため――その一心で私は、なんとか戦争を終結させた。


その時にはすでに、私は臣下たちからも国民からも、信頼を集めることに成功していた。

誰もが私を『立派な国王だ』と誉めたたえたが――その正体はただの優柔不断な男で、いたずらな目をした妻に全力で支えられているのだと、知っている者はいなかった。




prev / next
(3/9)

bookmark/back/top




「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -