草野球 アナザー | ナノ


▼ 6:いつものあのこ

今日も、あのこが来ている。


「おい、あのこいるぞ」

「ん、」


こいつは既に気付いていたようだ。
さすが視力2.0。

いや、他にも理由はあるだろうが。


しかし、うちの他の奴らは鈍感というか何と言うか、あのこの存在に気付いているのは、二遊間を組む俺だけだ。


こいつが笑顔を向ける、グランド外で唯一の存在。


いや、もちろん、差し入れをくれる後輩だかなんだかの女の子たちにもそつなく笑ってみせているが、笑顔の種類が全然違う。

『特別だ』と書いてあるような笑顔。



以前、飲み会で二人で話した時、あのこのことを聞いてみたことがある。

「何、彼女?」

「いや、そんなんじゃないよ。ただ…」

こいつは言葉を濁しやがった。


間違いなく、大事なもんは手に入れるまで隠しとくタイプだ。



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