草野球 アナザー | ナノ


▼ 9:わかってる?

あの人がまさか自分から「好きだ」なんて言ってくれるとは思わなかった。


あの人は駆け引きなんてできるような器用な男じゃなくて、むしろ私の作戦にいいようにひっかかっているくらいだった。


「私も好きだった」と答えた私に、あの人が目をまるくしていたのを覚えている。

私もけっこう好意を隠していないつもりだったから、私の中であの人は『鈍感』だと認定された。



どこが好きかと言われると、具体的に答えるのが難しいけれど、これだけは言える。

好きになったのは、私の方が先だ。


だから本当は、最初から私の負けだったのだけれど、あの人は全然気付いていない。

逆に、「彼女が俺なんかを好きだとはいまだに信じられない」くらいに思っているだろう。


その証拠に、情けないところを私に見られるたびに、不安そうな顔をする。


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