草野球 アナザー | ナノ


▼ 7:引退試合

今日は、私が応援するチームの、ベテラン投手の引退試合だ。

私はそれを観戦するため、かなり遠いそのチームのホーム球場に足を運んだ。


特別ファンだったというわけではない。

ただ、私もこの春で定年退職だから、なんとなく彼の『引退』を感慨深く思ったのだ。


彼は、最盛期には三振の山を築くピッチャーだったが、年齢と共に打たせてとるピッチングに変化し、役割も先発からセットアッパーへと変わっていた。

しかし、今季はやけに調子が悪いなと思っていたら、彼は引退を表明した。

彼は会見で「マウンドでやれることは全部やりきった」と、清々しい表情で語り、最後にファンやチーム、家族への「ありがとう」で締めくくった。


自分はこんな風に言える会社員人生を送れただろうか、と思い少し胸がちくりとしたことを覚えている。

同じ時に人生の区切りを迎える彼を見送りたいと、その時に思った。



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