草野球 アナザー | ナノ


▼ 8:お兄ちゃん

お父さんは、草野球チームでファーストをしている。

もういい歳なのに、「まだまだ現役」なんて言って、ユニホームを着てるけれど、お腹が出ていて少しかっこわるい。


だけど私は、野球が好きだから、よく草野球の試合を観戦に行く。


ただし、お父さんのチームじゃない。

『お兄ちゃん』の草野球チームだ。


そのチームは、お父さんのチームと、キャプテン同士が仲良しらしく、よく試合をしていた。


私が、三歳の頃初めて見に行ったお父さんの試合も、このチームとの試合。

試合後、お母さんが私を、お父さんのところへ連れて行くと、両チームのメンバーがわらわらと集まってきたらしい。

そして、なぜか私はその時、相手チームの一人の選手のところへ駆け寄り、「お兄ちゃん!」と抱き着いた……そうだ。


それが、そのチームのセンターをしていた、『お兄ちゃん』だった。


その時の記憶はないけれど、それからずっと、お兄ちゃんは私の大好きな『お兄ちゃん』だ。


「お前が生まれることを、あのチームの中で最初に知ったのがあいつだからかなあ」なんて、お父さんは笑っていた。


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