草野球 アナザー | ナノ


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酔うと少しだけ饒舌になるあいつが、いつか酒の席で、「チームのキャプテンが憧れの人だ」と言っていた。

「すげえかっこいい人」らしい。


俺はお前に憧れるし、かっこよく見える、と言っていたら、何と返事が返ってきただろうか。



何かに夢中になっていて、それが生活の中心で。

周りからは『器用』『そつがない』と評される。


俺にないものを、全部持っている、あいつ。


『器用さ』が、本当はたゆまぬ努力の結果だとは分かっていても、俺はあいつに憧れる……だけではなくて、心のどこかで、妬んでしまう。


素直に誰かを「かっこいい」と言ってしまえるところさえも、自信の表れのような気がして、――それができない俺はやっぱりあいつとは違うんだと実感して。


「努力が足りない」、誰かに話せばそう言われるのはわかっていても、憧れのかげに隠れた『妬み』は、消えてくれるものじゃない。


いつか、「俺はこれでいいんだ」と思えるような自分に、なれるんだろうか。



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