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「お兄ちゃん!」
私がそう叫んでグランドに現れると、お兄ちゃんは苦笑し、周りの人たちは爆笑する。
お兄ちゃんがはたちの時に生まれた私は、もう16歳。
つまり、36歳を『お兄ちゃん』と呼ぶ女子高生の図。
笑われてしまうのも無理はない。
だけど、お兄ちゃんは、お兄ちゃんだったころから全然変わっていない。
無口なところも、本当はすごく優しいところも。
――それから、女の人にもてるらしいのに、誰とも結婚していないことも。
それをいいことに、私はいまだにお兄ちゃんにまとわりついているのだけど、友達からは「そんなおっさん追っかけてないで、ちゃんと恋愛しなさいよ」なんて呆れられていたりする。
おっさんなんかじゃないのに。
お兄ちゃんは、誰よりかっこいい。
同級生たちなんかと比べるのが、もったいないくらい。
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