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五年以上前に一度みたきりの顔を記憶している自分にも驚いたが、この偶然にはもっと驚いた。
そう、確か彼女はタカハシが好きって言っていたな。
そして、タカハシに少しだけ似ている彼は、草野球チームのレフト。
今、レフトは当時のナカムラではなくエンドウが守っているが、彼女はエンドウも応援しているんだろうか。
そんなことを考えながら、しみじみと時の流れを思う。
あの時は、まだ『お友達』だった二人が、いまや立派な父親と母親だ。
娘が「ママー、泣かないでー」と心配そうに彼女に手をのばす。
二人が笑顔になる。
彼が、娘の頭をぽんぽんと撫でた。
「よしっ!あと2回、思いっきり応援しなきゃね!」
彼女はメガホンを掲げて宣言する。
すると、娘もきゃっきゃと笑った。
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