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ふいに高いフライが上がり、見上げた視界からボールが消える。
今日はすごく太陽がまぶしい。
そのことに気付いて、しばらくぼうっと空を眺めた。
彼はいつも、こんな空の下で、野球に恋して走り回っているんだ。
――なんて、まぶしいんだろう。
彼が、やっと私に気付いた。
動揺しているユニホーム姿に、笑顔で手を振る。
勝手に見に来てごめんね。
お弁当があるから、許してね。
…そんな気持ちを込めて。
「惚れ直したかもね」は、後でお弁当を渡す時に直接言おうかな、と思った。
そして、その回の守備で、彼は豪快なエラーを見せてくれたのだった。
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