▼ 23:パーティーと夫婦喧嘩(2)
私は、彼を探しに大広間に戻った。
彼は、椅子に腰掛けて友人たちと話している。
きらびやかな王族たちの中にいてもひときわ人目をひく彼に、一瞬目を奪われた。
私はこんな人に大事にされているのかと思うと、くすぐったい気持ちになる。
――そんな彼を、自分が不安にさせたなんて信じられないけれど。
私は小さく深呼吸をして、四人のもとへ歩み寄った。
途中で皆が私に気付き、話をやめた。
三人は笑顔で、彼は仏頂面でこちらを見ている。
「失礼いたします。……あの、か、カズマ様……少しだけ、いいですか」
四人分の視線に怯みながら、私はおずおずと彼に話しかける。
すると、友人の一人がにこにこしながら立ち上がり、わざとらしくお辞儀をした。
「お妃様、これは申し訳ない!カズマを私たちで独占してしまって。どうぞ、ごゆっくり夫婦の時間を過ごしてください」
「えっ、いえ、少しだけでいいんです!」
すると、彼が席を立ち、横目でこちらを見た。
「からかってるだけだ、気にするな」
私にそう言ってから、彼は三人を振り返った。
「ではお言葉に甘えて、ゆっくりさせてもらう」
そして私の手を引き、その場を離れる。
三人がはやしたてる声が聞こえた。
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