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▼ 13:アオイ兄さまとミサキ兄さま


「馬車で行くのと、かなりきついが馬で行くの、どちらがいい」

彼にそう聞かれて、私は馬を選んだ。
その方が断然早く着くからだ。

彼と二人乗りで馬をとばし、昼前には故郷に着いた。


父と母にまず挨拶をする。
母がしきりに彼のことを聞きたがったが、私は「また今度ね」と、兄のもとへ急いだ。

母は「相変わらずお兄ちゃん子ねえ」と笑い、彼がその言葉に複雑そうな顔をしていた。


ミサキ兄さまの部屋へ入ると、上の兄――アオイ兄さまもいた。

「ミサキ兄さま!」

駆け寄って飛びつく。

「リン!来てくれたのか!嬉しいぞ!」

ミサキ兄さまも私をぎゅっと抱きしめてくれる。


「おい、リン。ミサキは怪我してるってわかってるか?ミサキも何を喜んでんだ」

アオイ兄さまが呆れ顔で言った。

「いーんだよ!リンは特別だ」

ミサキ兄さまが目尻を下げて笑う。

三人でいると、ミサキ兄さまが私を猫かわいがりし、アオイ兄さまがそれにつっこむという構図になる。


「リン、いいかげんミサキから離れろ。ところで今日はどうやって来たんだ?やけに早かったな」

アオイ兄さまの言葉に、私は彼の存在を思い出す。

「あっ、カズマ殿下が……」

そう言って振り返ると、彼は後ろにいなかった。


慌てて部屋の外へ出ると、廊下で妙におとなしく彼が立っていた。

「カズマ様……?」

顔をのぞきこむと、彼は言った。

「三人でゆっくり話してこい。落ち着いたら挨拶しに行くから」

私は首を振った。

「入ってください、カズマ様。ミサキ兄さまを紹介したいです」

「そうか」


彼を連れて部屋に戻る。

彼は兄たちに、そつなく、挨拶と見舞いの言葉を述べた。

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