my beloved | ナノ


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「カズマ様、失礼です!私、一人でもちゃんとした振る舞いくらいできます!なんでいつもそうやって過保護なんですか!」


「そういうことじゃない。とにかく一人になるな」

呆れたような顔をしてそう繰り返す彼に、私は怒りを爆発させた。

「じゃあどういうことですかっ!一人になるなって……いくつだと思ってるんですか!カズマ様は私の保護者じゃないんだから、そんなふうに子ども扱いしないでください!」

一気にまくしたてると、上着を脱ぎかけていた彼の動きが止まった。

「子ども扱い?」

彼は、鋭い目でこちらを見ると、いきなり私を絨毯の上に押し倒した。

「え……っ」

頭を打たないように支えられていたものの、いきなり視界が回転して、舌を噛みそうになる。

私の手を自分の手で押さえ、彼は言った。

「そうだ、俺はお前の保護者じゃない。夫だ。お前こそわかってるのか?」

「わ、わかってます!」

状況に混乱しながらも、私はむきになって言葉を返した。


「それなのに俺がいつもお前をどんな目で見てるかわかってないのか」

「ど……んな、って……」

「こんなに隙だらけで危なっかしいくせに」

彼が、苦々しい表情で私を見下ろす。

苛立っている、ように見えた。

「今の扱いが不満なら、いくらでも変えてやる。ただし『約束』は破棄だ」

意味がわかりません、と言おうとした私の唇は、強引に塞がれた。

それから、彼の唇が首筋をなぞる。

「やっ……!」

彼の手が、いつもは触れない場所に触れ、私は身をすくませた。ドレスの肩紐が、片方外れてしまっている。


全身が熱くて、頭が沸騰しそうだ。


「……っ!やめてください!」

私は、力を込めて、彼を突き飛ばした。

「か、カズマ様の馬鹿っ!」

尻餅をついた状態の彼にそう叫び、私は部屋を飛び出した。


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