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▼ 22:パーティーと夫婦喧嘩


彼が以前成し遂げた協定の締結を祝して、王宮でパーティーが開かれていた。

大広間に、周辺各国の王族たちが集まっている。
協定相手の首長は、あまりに文化の違う私たちのパーティーに参加する気はないが「協定を結べたことを嬉しく思う」との声明を出した。


私は正装をして、彼と共に招待客に挨拶をして回った。

彼の『王子様』全開な正装はとても似合っていて、油断するとぼうっと見とれてしまいそうになる。


「久しぶりだな、カズマ!」
「さすがだね、有能有能」
「首はねられなくてよかったな〜」

やけにくだけた口調でからかうように声をかけてきたのは、隣国の第一王子と第二王子、それとその隣の国の王子だった。

年齢も距離も近いせいか、彼を含めた四人は仲の良い友人でもあるらしい。


そのうちの一人が、「挨拶回りが終わったら久しぶりに四人で話さないか」と持ち掛けた。

彼は、眉をひそめ、少し考える表情になった。

すると、

「いやいや、カズマはかわいいお妃様を放ってはおけないんじゃない?」


別の一人が言う。

「とはいえ、お妃様もたまにはカズマから解放されたいでしょう、ねえ?」

突然話を振られて、私は焦った。

「えっと、いえ、その……」

しどろもどろになる私を見かねたのか、彼がため息とともに答えた。

「……わかった、後で行く」



****



挨拶回りが終わり、私たちはとりあえず『仕事』から解放された。

服を着替えるために、一旦部屋に戻る。

女官を呼ぶ前に、彼が言った。

「あいつらとの話は早めに切り上げて帰ってくるから、お前はアオイどのと一緒にいろ」

「そんな、ゆっくりしてきてください。私は一人でもちゃんとできますから」

「そういうわけにはいかない。いいか、アオイどのから絶対に離れるなよ」

彼は、パーティーなどのとき、いつも私から目を離さない。
そのせいで『溺愛している』だなんて噂が立つのだけれど、いつもそうだから、本当は少し悔しかった。

確かに私は、できのいい姫とはいえなかったけれど、社交場でのマナーはきちんと仕込まれている。

しかも、嫁いでいる身で兄と一緒にいろだなんて言われて、私はムッとした。

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