▼
投げ込まれたカードには『招待状』と記されていた。
『約束通り、楽しいパーティーに貴女をご招待します。秋津は先に来て待ってるよ。会場へは貴女のワンちゃんにでも案内してもらってください。あ、他の人に聞くのは禁止です。早く来ないと退屈すぎて貴女の同僚に意地悪をしてしまうかもしれないよ』
ふざけた文面だが、つまりは秋津を人質に取り、日夏を呼びつけている。
日夏は、怒りで指が震えた。
日夏の表情に気付いた日向が、はっとしたようにカードを奪う。
中身に目を通した後、日向は問うた。
「ナツ……『約束通り』って何だ。お前、あいつと会ったことあったのか?何で黙ってた」
鋭い目つきに、日夏はたじろぐ。
だが、すぐに反論した。
「クロだって!あの男のこと知ってるの!?会場に案内って……そっちこそ、何で言ってくれなかったのよ!」
今度は、日向が日夏から目を逸らした。
「それは……」
そして、観念したようにため息をつく。
「わかった。この男のことを話す。そしたら、ナツもちゃんと話せよ?」
「ええ」
「……あのな、ナツ。精霊に関する新しい法律、知ってるよな?実は、あれは――」
日向は、これまでの黒星についての経緯を、全て日夏に打ち明けた。
***
prev / next
(8/15)