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「……今だけ、だから……」
「え?」
「一回だけ、でしょう……? だから……、っんん!」
言い終えるより早く再び唇が重なり合った。
何度も角度を変え、口内を貪るように舌が這いずり回る。
「ふっ、ん、う……ぅ!」
「……本当にいーの? マジで俺、制御できねぇかも……」
深いキスをしながら駆くんが私の身体をそっと抱きしめる。
まるで壊れ物に触れるみたいに腕の中に優しく閉じ込められて、心地良さすら感じた。
「んっ……」
舌を絡めて応えると、駆くんはふわっと私の身体を持ち上げてベッドに押し倒した。
「っ……」
ブラウスのボタンが一つずつ外されていく。こうすることを許したのは自分なのに、恥ずかしくて身体が震えてしまう。
そんな私に気付いてか、駆くんが小さく笑う。
「やべ……手、震える。童貞バレバレ?」
「えっ? だって駆くん……」
私の緊張をほぐすための冗談だとばかり目を丸くするが、駆くんは静かに首を振った。
「あのなぁ。俺はロリコンじゃねーし、熟女相手に勃つような趣味もねーの。ずっと木実だけを抱きたいと思ってたけど、いざ目の前にしたらやっぱ緊張するわ……情けねぇけど」
じゃあ……皆の前であんな風に露骨に嘘をついたのも、ただクラスを和ませるためじゃなくて、困った私を助けようと……?
「どうしてそんなに……」
「好きだからに決まってんじゃん。それ以外の理由で他人のために身をすり減らすほど、俺はお人好しじゃねーよ」
「……駆くん……」
彼がこんなにも真っ直ぐな瞳をしていたなんて、今までどうして気付けなかったんだろう。
この想いがずっと前から私に向けられていたのだと思うと、くすぐったくて、もどかしくて、だけど……嬉しくてたまらない。
「ぁっ……」
最後のボタンが外され、白い下着に駆くんの指先が触れた。
教師になってから服装への関心なんて甚だ薄れていたけれど、せめてもう少し色気のある下着を身につけておくべきだった……恥ずかしくて涙が出そうになる。
「あんまり見ないで……私、こんな……」
「何で?可愛いのに。ほら、見ろよ……木実のせいですげー興奮してる」
駆くんは苦笑しながらベルトを外し、窮屈そうに膨らむそれを解放する。
「っ……」
目のやり場に困ってきゅっと瞼を閉じると、駆くんは下着を持ち上げ露わになった乳首に唇を寄せた。
そのまま口内に含み、転がすように舌を動かす。
「んっ……あ、はっぁ……」
持て余した手がするするとスカートの裾から忍び込み、内腿を撫でながらあっという間に下着の中に侵入してくる。
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