禁断小説 | ナノ

熱視線

「んッ……ふ……」

 静寂に包まれたスタジオに、熱い吐息がこだまする。
 白塗りの壁と照明機材に囲まれただけのそこは、ただ白いソファが一つ、私のために用意されているだけの無機質な空間だ。

「は……ぁ……、はぁ……っ」

 清純派アイドルからアダルト業界へと身を投じた私の渾身のヌード写真集は異例の売り上げを記録し、現在は第二弾となる過激な新作の撮影真っ只中。
 ソファの上で膝を曲げた両脚を大きく開き、両手で性器を大胆に拡げ、艶めいた笑みを浮かべる私と続けざまに響き渡るシャッター音。
 ファインダー越しに覗き見える鋭い眼光に、私は犯される。

「そう……いい表情だ。それに、下の方もいい具合になってきたね。そろそろ始めて構わないよ」

 まだ若く見えるが、プロデューサーでありカメラマンでもある彼の腕は確かだ。
 そんな彼の言葉を合図に私は自分の中指をゆっくりとソコに滑り込ませた。
 すでに溢れ出ていた蜜が潤滑油となり、指の一本くらい容易く飲み込んでしまう。

「んっ、は……ぁっ」

「まったく、キミって子は。何もしないうちから随分と濡らしてくれたね。見られているだけで感じたの? それとも、撮影前に一人でしていたとか」

「し、してません……っ、そんな」

 即座に声を上げると彼は全てを見透かしたように目を細めた。

「ふ……ってことはやっぱり見られて感じたんだ、いけない子。清楚で純真な少女がまさかこんな淫らな行為に耽っているなんて、そりゃ世の男たちが騒ぎ立てるのも頷けるね」

 彼は喉の奥で押し殺すようにくくっと嘲笑を洩らした。
 羞恥心に火を点けられて堪らず視線を逸らすと、すかさず声が飛ぶ。

「ほら、目線は伏せない。こっちを見て。そのまま指を動かす」

 指示されるがままに咥え込んだ指をゆっくり出し挿れさせる。

「は、ぁっん……」

「そう、いいって言うまで動きを止めないで」

「んんっ、はぁっ、ぅ……んッ」

「くすっ……オナニーは気持ちいい? 早く弄りたくてしょうがなかったって顔してたもんね。じっくり嬲ってあげなよ」

 愛撫を続ける恥ずかしい姿が一枚一枚フィルムに刻み込まれていく。
 形や色がくっきりと映ってしまいそうなほどの至近距離でカメラを向けられると、ますます気分が昂った。

クチュックチュッ…ヌプッ…ヌチュ…

「あっ、ぁん……はぁっ、ぁ……!」

「ビデオ撮影してるわけじゃないのに、そんな声出して恥ずかしくないの? ねえ?」

「ッ、ん……!」

 笑われて、声を押し殺すと彼は満足げに頷く。

「いいね。全裸でよがり狂うキミも可愛いけど、恥じらうキミはもっと可愛いよ。けど、目線はこっち。手もちゃんと動かして」

「はい……っ、ん……ぁっ」

クチュッ…ヌチュッヌチュッ…クチュックチュッ

「はぁっ、ぁ……ん、あぁっ……あぅっ、い、いき、そぅ……っ」

 腰がびくびくと震える。
 彼の視線を感じる度に全身が熱く火照り、緩やかな刺激でさえ敏感に感じてしまう。

「ぁっん……ぁあっ、はぁっ、ぁ、イ、クっ……あぁっ、ん、ぁぁイクぅっ……!」

 我慢できず、あっという間に達してしまった。
 心臓が激しく鼓動し、引き抜いた指にはねっとりと糸が絡みついている。
 頬を赤く染め乱れる吐息を溢しながらカメラを見つめると、冷ややかな視線が返ってくる。

「誰が止めていいって言ったの?」

「え……」

「今のはキミが勝手にイッただけでしょ。撮影は続行するよ。ほら、早く続けて」

「は、はい……、ッん……!」

 溢れた蜜でびっしょり濡れた秘部へ再び指を飲み込ませる。
 まだ痙攣し敏感なままのソコはすぐに快感を求めて疼き出す。

「何してるの、もっと深く入るでしょ? そのいやらしい液を掻き出すみたいに激しく動かすんだよ」

「んんっ……は、ぁっう、あぁぁっ!」

「そうそう、臨場感が伝わるように。キミのはしたない姿を大勢の人に見てもらいたいでしょう?」

 言われるがまま激しく指を突き挿れて中を擦ると、パシャ、パシャとその姿が無様に収められていく。

「ぁっああ……あんっ、はぁっ、はぁっ……!」

グチュッグチュッ…クチュッ…グチュッグチュッ

「ぁぁっん……! はぁっ、や、また、ぁんっ、イッちゃ、そ……っ、はぁっあぁ……ぁう!」

 ふやけた指で身体を震わせ続けていると、意識の遠退くあの感覚がまたじりじりと昇り詰めてくる。

「まだまだ撮影が残ってるっていうのに……この調子じゃ明日までかかりそうだ」

「はぁっ、だ、って……んっ、ぁ、気持ち、よくてっ……はぁっ、あん」

「まあそうだね、淫乱なキミには我慢なんて無理な話だろうね」

 嘲笑われているというのに、それさえも気持ちいいだなんて。
 涙目になりながらもひたすら指を動かし続けた。

ズプズプッ…ヌチュッヌチュッ…クチュックチュッ

「あぁっぁん、はぁっ、あっぁ……」

「ああ……すごくエッチな顔してる。もう完全に蕩けちゃってるね」

「んんっ、は、ぁん……っ! ぁ、あ……いっ、ぃ……っ、イクぅっ……あぁっ、また……ああっ、ぁ、あぁぁあッ―――!!」

 おびただしい潮を撒き散らし、ソファに大きな染みを残しながら、二度目の絶頂を迎えた。
 ビクンと背中が大きく仰け反り頭の中が真っ白に染まっていく。
 撮られていることも忘れてぐったりソファにもたれかかる私にすぐさま彼は言い放つ。

「余韻なんて味わってる場合じゃない、休憩は後。次はコレを使ってしてもらおうか」

「ぁ……、」

「ふふ、できるよね? キミなら」

 差し出された"玩具"の数々を前に、現実に引き戻された身体が再びキュンと疼いた―――。

熱視線【完】
2017/04/02

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