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ホストクラブの黒い罠

「あの、ここって……ホストクラブですよね?」

 先程から肩に腕を回して抱き寄せるフリをしながら妙に胸の辺りを触ってくる彼におずおずと尋ねる。
 彼氏と喧嘩別れしてムシャクシャしてたところに、丁度いいタイミングで声をかけられて。給料も入ったばかりだったし、暁と名乗るお兄さんはイケメンだし。思わず興味本位で入ってしまったのだけど……。

「瑠璃ちゃん、まだハタチだっけ。こういう店初めて?」

「え、あ……はい」

 こういう場所ではちょっとくらい見栄張ったほうがよかったかな? なんて考える間もなく、彼は座ったままさらに身体を密着させてくる。
 ホストクラブにしてはなぜかカラオケボックスのように仕切られた個室になっているし、ボーイもいなければ賑やかな声も音楽も聞こえてこない。
 置いてあるのはこのソファと、薔薇のように真っ赤なベッドだけ。
 ずっと感じていた違和感が確信に変わったのはその直後のことだった―――。

「大丈夫だよ。この店、優良な"女性専用風俗店"だから。初めての子にはちゃんとサービスしてあげる」

 甘い声でそんな言葉を口にしながら、遠慮がちだった彼の手が堂々と胸を弄り始めた。
 そんな店だったなんて聞いてない……そう口にするより早く肩からするりと落ちるワンピース。
 驚く間にもまるで手品のように一瞬でブラのホックが外される。

「やっ……!?」

「みんな最初は緊張するけどね、すぐに良くなるよ。瑠璃ちゃんも最高の気分にさせてあげる」

 言い終えるや否や強引に唇を奪われてしまう。
 上顎をなぞるように舌でねっとりと口内を舐め回した。

「んっ……!」

 隙を与えない激しいキスで唇を塞がれ、荒い息遣いが響く。
 彼の襟元から漂ってくる濃厚なバニラの香りに鼻孔が痺れ、頭がクラクラした。

「え……、な、に……?」

 キスをしているだけなのに、身体の芯がじわじわと熱くなって全身の力が抜けていく感覚を覚えて怖くなる。
 不安な瞳を向ける私に彼は落ち着いた微笑みを返した。

「あぁ、この香水? 変なクスリの類じゃないよ。ただちょっと、女の子の本能をくすぐるだけ」

 そう言って彼は優しく耳打ちする。

「……ベッド行こうか、瑠璃ちゃん」

 すごく怖いのに、心のどこかでひどく興奮している自分がいる。
 それが私の本能だなんて信じたくないけど、心臓がドクドクいって、身体が疼いて……今の私では抗えそうにもない。
 彼に抱かれてベッドへ移動するとゆっくりと照明が落ち、紫色のネオンの光が煌びやかに部屋を包み込む。

 ……と、その時だった。
 まるでそれが合図だったかのように、突然部屋にもう一人の男性が入り込んでくる。

「っ……!?」

「瑠璃ちゃん初めてだから、今夜だけ特別ね。二人の男に同時に抱かれたこと、ある? きっと病みつきになるから」

 もちろんそんなのあるわけない。
 状況がわからないまま何も言えずに固まっていると、彼は後ろから抱きしめるように腕を回し、首筋にキスをしながら再び胸に手を這わせ始めた。
 後から来た男もワイシャツのボタンを外して肌蹴た姿を晒すとじりじりと攻め寄ってくる。

「失礼します」

「っ……、ぁ……!」

 ガタイの良い筋肉質の彼は一言だけ挨拶をし、足首を持ち上げて爪先を口に含み指を一本ずつ丹念に舐め上げていく。

「オレ、性感マッサージ得意なんすよ。特にコッチのほう。試してみます?」

 そう言ってニッと笑い、ローションをたっぷり手のひらに垂らし取ると陰部をさわさわと撫で始めた。

「ぃ、……あっ……はぁっ、ん……!」

 ローションのついた指が膣の中に入ってきて、円を描くように掻き回していく。
 同時に後ろから乳首を摘まれ、思わず背中が仰け反る。

「んっ、う……! はっ、あぁっん……、ぁぁッ」

 零れてしまう喘ぎ声と厭らしい水音が室内に響きさらに興奮を煽った。

グチュッグチュッ…ジュプッ…チュプッ…ピチュ

「はぁっ、ぁ……、奥っ……触っ、ちゃ、やぁぁっ……!」

 膣の中で動き回る二本の指が、ぐちゅぐちゅと蜜を掻き出す。
 子宮の入り口まで届きそうな長い指でピストンされ、だらだらと汁が溢れ出てくる。

「うは……すげぇ潮。お姉さん、ここが気持ちいいんすか?」

 止められない飛沫が彼の手を淫らに伝ってシーツに染みを作っていく。
 恥ずかしくて顔を覆う手を暁さんに取り払われ、男の熱いキスが注がれる。
 ねっとりと舌が絡みつき、口の中で唾液がどろっと入り混じる。

「んんッ、ふ……ぅ……んぅっ、はぁっ……! ぁっ……、んん、はッ……!」

 ぼーっとする意識を必死で保ち、塞がった唇の隙間からかろうじて酸素を取り込む。

「あー……オレ、もう我慢できねーっす……」

 ようやく唇が離れ男の指が引き抜かれたかと思えば、まだヒクヒクとするソコに硬いものが押し当てられて身震いした。

ズプッ…ヌチュッ…

「んっ、あぁぁッ……!!」

 まるで肉の塊みたいに図太い肉棒が一気に奥を貫き、全身が悲鳴を上げた。
 彼は奥深く挿れたままひょいっと私の身体を持ち上げ、自分の腹の上に乗せて下から激しく突き上げる。

「は、あっぁぁッ、んっ……はぁっ!」

「瑠璃ちゃんのやらしい姿、後ろから全部丸見えだよ。コイツの太いから、苦しいでしょ」

 優しい声で囁きながら暁さんがお尻の穴をぱっくりと開く。

「ひぁっ……そ、こっ……見ない……でっ……!」

「こっちは初めて? 可愛いピンク色してる」

「ぁぁっ……ん……、はぁっ……、だめ……ぇっ……」

「お姉さん、怖がらなくても大丈夫っすよ。暁さんはアナル扱うの上手いっすから。たぶんこの店のナンバーワン。リピートも多いんすよ」

 上手いとか下手とか、そんなの私にはわからない。
 でも、お尻の周りを柔らかくほぐすように舌でグニグニと刺激されて、その手慣れた愛撫に筋肉が弛緩するのが分かる。

「あぁっ……、ぅぐっ……はぁ」

 指が一本、二本と腸内を犯すように深く入り込んでくる。
 その間にもズプズプと突き上げる男の動きは止まらない。身体のあちこちを嬲られて汗が噴き出し、おかしくなってしまいそうだった。

グチュッグチュッ…ヌチュッ…グチュッグチュ

「あぁぁっ……、はぁ……はッ……ぅ……!」

「ほら、お尻も気持ち良くなってきたでしょ? 物欲しげにヒクヒク言ってるよ。……少しだけ硬いの挿れてみる?」

 舌の感触とは違う何かが穴の入り口に触れる。
 指だけでもお腹の中がパンパンに張っているみたいで苦しいのに、それ以上の異物が入り込むなんて信じられなかった。
 しかし、ローションを塗りたくった彼のペニスがずぶずぶとめり込んだ瞬間、強烈な刺激が全身を駆け抜けた。

「ッ……ぁぁあ……!!」

 一瞬の痛みと大きな快感がせめぎ合う。
 狭い中を抉じ開けるようにゆっくり抜き挿しが繰り返されると、敏感な粘膜が擦られてさらに異物感が込み上げてくる。

「……このままずるずる挿入っちゃいそう。瑠璃ちゃん、素質あるよ。もう普通のセックスじゃ物足りなくなっちゃうかな」

「ぁぁっ……、は……ぅ……! んんっ、ふ……あぁっ……」
 
「暁さん、最初からやり過ぎると瑠璃さん飛んじゃいますよ。もう完全に蕩けちゃってますし」

 二人の声が耳に入ってこない。
 膣と直腸がまるで一つに繋がってしまっているかのように両側から押し合って、下腹部がはち切れそうなほどに苦しい。二本のペニスに両穴を激しく犯される度に短い息を吐いた。

グチュッグチュッ…ズプッズプッ…ジュプッジュプッ…

「ぁっ……、あ……ぁっ、はぁっ……ぅ……んん! ふ……ぐ……ッ、あぁぁッ!!」

 ただ快楽を貪るだけの行為。味わったことのない凄まじい衝撃と、肉を引き摺り出すような摩擦感。
 浅く抉っていただけの暁さんのペニスが次第に深まっていき、腰を掴んで厭らしく擦り上げる。
 それに合わせて膣壁を突き上げていた男のピストンが激しさを増して叩きつける。

「ひあぁっ……はぁッ! んっ……あぁぁぁッ……!!」

 何度も絶頂を迎えては休む間もなく次の波が襲う。
 その度に私はガクガクと全身を痙攣させながら声にならない声で喘いだ。

「ぁ……、ん、ぐ……ぁぁぁッ……、……ぁぁ……」

 姦濫な行為は続き、視界が霞み声は掠れ、いつしか気を失っていた。
 その後のことは覚えていない。

ホストクラブの黒い罠【完】
2015/11/08

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