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「こんな遅くに男の部屋を夜這いするなんて、本当にいけないお嬢様ですね。エッチなことを想像して、我慢できなかったんでしょう?」
耳元で甘く優しい執事声で私に囁く。
「創、ずるい……」
思わずそう呟いてしまうほど、心臓がドキドキ言ってうるさい。
「何がずるいんですか。お嬢様の方から誘ってきておいて、まさかまた、僕のせいにするわけではございませんよね」
「そ、そういう言い方がずるいって言ってるの!っていうか創、まだ昼間のこと根に持ってるの?」
「ええ、それはまあ、それなりに。お嬢様がワインを飲みすぎたのは僕のせいではなく、あんな男にヘラヘラ愛想振りまいてお酒を煽ったお嬢様自身ではありませんか」
「だって、仕方ないでしょ?パパの大事な取引先の…」
「そうですね。大人の付き合いは大切ですから、仕方のないことです」
そこまで言って創はふぅっと大きく息を吐くと、鋭い視線で私を貫いた。
……そして。
「仕方のないこと――――なんて、本当にこの俺が言うと思ったか?」
また急に、創の態度が変わった。
どきっとする間もなく私を抱き寄せていた腕に力が込められると、首筋に唇が近付いてくる。
「あんなに気安く触らせやがって。お前は俺のもんだっていう自覚がまだまだ足りないみたいだな?一華」
言いながら、ちゅう…っときつく吸いつくように、小さな赤い跡を残す創の唇。
「この肌に触れていいのは、俺だけだ。そうだろ?」
「んっ………ぁ…」
創の息がかかってくすぐったい。
だけど、愛されてるって感じがして…すごく心地良い。
首筋を創の舌が這いながら肩からするっとドレスが落とされた。
手慣れたように片手でブラを外し、ショーツの紐は解かれ、あっという間に脱がされてしまう。
「ま、待って……創」
創とこういうことをするのが嫌なわけじゃない。
でもここは、創の部屋で。
普段私の部屋でしているのとはワケが違う。
すぐ隣の部屋には、他の使用人が寝泊まりしているんだもん…。
壁越しに声が聞こえてしまったら…なんて理性が働いて、躊躇ってしまう。
「…ふ、声を抑える自信がないってか?感じやすいもんな、お前の身体は」
そう言いながらゆっくりとベッドへ倒される。
上からも下からも創の香りが私を包み込んで、変な感じ。
いつも以上に緊張しちゃう…。
6/10