p.6
「―――おい。おいって」
呼ばれてハッと我に返る。
「えっ? な、何!?」
「何赤くなってんだよ。そんな顔してると襲うぞ」
「っ……!? またそうやって私をからかうつもり!?」
頬を膨らませてわざとらしく顔を横に背けると、突然ぐらりと身体が揺れた。
そして気付いた時にはもう、おもむろに引き寄せられた私の身体はすっぽりと鷹斗の腕の中に包まれていた。
「鷹斗っ……!?」
間近で感じる鷹斗の吐息に一気に私の鼓動は早まっていく。
「……からかってなんかねーよ」
「えっ……?」
さっきから感じてる胸の高鳴りが止まらない。
まるでこのまま心臓が破裂してしまいそう。
「なぁ……今、俺がお前をドキドキさせてんの?」
「こ、こんなことされたら誰だって……」
「あいつは? 優斗に触られても同じなのか?」
「そっ、そんなのされたことないし……」
低い声が動揺する私の耳を優しく貫く。
「……小春の彼氏になる男、俺じゃダメ?」
身体をそっと引き剥がした鷹斗が、真剣な眼差しでこちらを見つめている。
「それって……告白、してるの……?」
「他に何があるんだよ。そもそも顔なら俺もあいつも同じだろ? けど、あいつなんかより断然俺の方がお前を幸せにする自信ある」
真っすぐに向けられた視線と言葉が心に深く突き刺さる。
こんな表情、見たことない……。
鷹斗は口元を緩ませると、両手で私の肩を掴んだまま囁いた。
「俺はお前が好きだ。昔から俺の中には小春しかいねーんだよ」
ぎゅっと力が加えられた両手からその想いがひしひしと伝わってきて、一瞬でかぁっと熱くなった。
6/13