Allen・Walker




ベッドに寝転がって、ついさっき街で思わず買ってしまった、セーターの包みを眺めた。
「渡す人がいないんじゃなぁ」
はぁ、とため息を吐いた。
教団から出ていった彼は今何をしているのだろう。今ごろは神田たちと合流出来たのだろうか。ご飯はちゃんと食べているだろうか。睡眠は。アレンはあのクロス元帥と居たのだし、一人で生きていくくらいできるだろう。寂しくは、ないだろうか。エクソシストで、ノアで、どっちつかずのまま。
どうか弱い私を許してね、アレン。
教団(ホーム)も、居場所も、友達も、失えないの。
アレンも、どちらも大切で、失いたくないと思う。だけど、どちらかを取るのなら
迷っている合間にアレンは出ていった。後を追うようにして、神田もジョニーも。
私は、どうしたらいいんだろう。
私は、どうしたいんだろう。
枕元を探って、アレンのバッジを手繰り寄せる。赤い石の奥に沈むEと、その上の枠の部分に彫られたアレン・ウォーカーの文字。

アレン、お誕生日おめでとう。

心の中でそっとアレンに呼び掛ける。
会いたいなぁ、アレン。
会ったらぎゅーって抱き締めて、それからお祝いしよう。ケーキは、ジェリーに頼もう。きっと気前よく作ってくれるはずだ。みんなで、お祝いしたいなぁ。アレン





ふと誰かに呼ばれた気がして、アレンは空を仰ぎ見た。空は相変わらずどんよりと曇っていて、じきに雪でも降ってきそうな塩梅だ。
はぁと息を吐くと、一瞬だけ白く染まって、すぐに霧散した。
今ごろ、あの優柔不断な彼女はどうしているだろうか。きっと、また悩んでいるのだろう。着いていくか行かないか。答えはきっと着いていかない≠セ。どっちも選べず、エクソシストとして彼女は教団に残るだろう。そういう確信がアレンにはあった。
さみしくないと言ったら、嘘になる。傍にいてほしいし、会いたいとも思う。
だけど今のままの自分では会えない。
僕はノアじゃない。
エクソシストの、アレン・ウォーカーだ。
そう信じて、僕は僕の道を行く。
だから君も。君の道を選んで進めますように。
いつかまた、教団に帰れたらそのときは彼女に一番にお帰りと言って貰いたいなぁ。
アレンはまた息を吐いた。






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