めろめろなんです




「ちーよーっちゃん!」
「きゃぁぁぁっ」
「おはよう千代ちゃん今日も可愛いねー!ほんと食べちゃいたい!」

ぎゅーっと抱きしめて頬擦りしていると千代ちゃんがいやいやと両手を振り回す。それを捕まえて改めて後ろからぎゅー抱きしめる。あーぬくい。やわらかい。いーにおいするし千代ちゃんほんと最高。顔真っ赤なのも超かわいい。


「もうっ急に抱きつかないで!」
「ごめんね、千代ちゃんがあんまり可愛いものだから」
「っ………! 名前 ちゃんのたらし!」
「えー、心外だなぁ。私は王子みたく誰彼構わず誑かしてなんかないよ?千代ちゃんだ・け」

耳元で低めの声で囁くと、千代ちゃんの肩がびくりと揺れた。
こんなふうに千代ちゃんとじゃれてるせいで勘違いされがちだけど、私は別にレズビアンではない。口説き文句はほぼ冗談だし、ただ女の子の体のあのやわらかさとあたたかさが大好きなのだ。千代ちゃんは背もちっちゃいからわたし的には抱きしめるのに一番ちょうどいい。この、腕すっぽりおさまってしまうのがたまらなくいい。千代ちゃんかわいいし。反応も楽しいし。

「私好きな人いるんだけど?!」
「知ってる知ってる。野崎っしょー。男なんてやめて私にしない?」
「し・ま・せ・ん!」
「つれないなぁ、千代ちゃん」

残念、と肩をすくめていると軽く頭をはたかれた。振り返るとそこには担任の先生が。あんまり佐倉を困らせるなよ、と言って目尻を下げて苦笑した。

「おーいそろそろ席つけー朝のホームルームはじめるぞー」


先生が声をかけると、それまで各々でざわついてたクラスメイトが席についた。
もっと千代ちゃんを堪能したかったけど、仕方ないので席についた。私と千代ちゃんは席がだいぶ離れている。千代ちゃんの席が窓側の真ん中らへんなのに対して私は真ん中の列の一番後ろだった。
すこし見えにくいけど、私はここから千代ちゃんを見つめるのが、大好きだ。授業を真面目に受けてる千代ちゃん。時々前の席の人のせいで黒板が見えづらいのか体を動かしながら取っているのが可愛くてすき。友達と楽しそうに話してる千代ちゃんも、恋してますって顔で野崎のことを話す千代ちゃんも、全部可愛くて、私のお気に入り。でも一番好きなのは、時々持ってくる手作りのお菓子を本当に美味しそうに食べてくれる千代ちゃん。見てる私も幸せになる。
ちょっと古臭い言葉で言えば、私は千代ちゃんにめろめろなのだ。
ちら、と後ろを向いた千代ちゃんと目が合って、微笑むとパッと前を向いてしまった。残念。今日も千代ちゃんは可愛いなぁ。





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