哀れな少年ジャックとともに、眠れぬ夜の幕開けを


*日本人ヒロイン


そのゲームの発端は、ある一枚の招待状だった。あれさえなければ、こんなことにはならなかった。私のことなのだからアントンの言うことなんて気にする必要なんてないのに、まともに取り合ったのが運のツキか。どうであれ、今更後悔しても遅い。
もう、決まってしまったのだから。



昨日 午後十時過ぎ
「親分と行こう!」
「却下。私は仕事があります」
「大丈夫!休み貰ってきたし」
「なにしてくれてんだよアンタ」
なんとアントーニョに上司が落とされた。あの人なら大丈夫だと思ってたのに!ショックだよ!
嬉々としたアントーニョはしつこく行こう行こうと誘う。
誰が行くか。パーティーなんか。
アントーニョはどうせ身内だけのやし、気楽だよなんて言うけどそういう問題じゃないと思う。国たちの中に人間が交ざるということだ。一度会ったベルギーの化身は、とても可愛かった。その辺の雑誌のモデルや芸能人なんて目じゃないくらいに。自信なくしそうだよ。
まぁそんなわけでアントーニョもロヴィーノとその弟も美形だし、フランスさん素敵だし、ベルちゃん可愛いし私がそんなところ行くの場違いだと思うんだよね!
「いやだよ、私行かないから」
「そんな悲しいこと言わんで一緒に行こう?なー?」
「いやだ」
「名前の分も衣装用意してあるんやで?」
「知るか。私は行かない」
休みを取れば私が折れるとでも思ったのかこ男は。馬鹿か。馬鹿なのかアンタは。それくらいで折れるわけがないだろう。
ぱんっと音を立てて手を合わせて、アントーニョが上目遣いに私を見る。
「なー?一緒に行こうやー」
「……。ポーカーしよう。アンタが勝ったら行く。アンタが負けたら私は休みを満喫させてもらうよ」







この誘いがいけなかった。
私はこの時、完全に油断していた。
アントーニョは年上だ。ものすごく。普段の物腰からそうは見えないけど、実は人をよく見ているし、案外頭がいい。馬鹿にみえるけど頭がいい。
だから私は、油断していたんだ

結果を言おう。


私は負けて、アントーニョと一緒にパーティーに行くことになった。





「何この衣装」
「何ってカボチャのおばけ」




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