CV.平川大輔のキャラクターたちに「おやすみなさい」って言ってもらった

→大蛇卓(緋色の欠片)
→桃太郎(鬼灯の冷徹)
→エース(ハートの国のアリス)
→青空颯斗(Starry☆Sky)



→大蛇卓(緋色の欠片)
※夢主は宇賀谷のお手伝いさんで卓さんの恋人。

お夕飯の片付けを終えて、自室に戻ろうと廊下を歩いているとちょうど電話が鳴りました。びっくりして変な声を上げてしまってあわててあたりを確認すると、誰も居なくて胸をなでおろしました。一体どなたなんでしょうか。心臓が飛び出そうになったと文句を言ってやりたい気分です。
この時間帯に電話がかかってくるのは滅多にないので(そもそもあまり鳴らない)、少しドキドキしながら受話器を取りました。
受話器を取ると、「もしもし、大蛇です」と落ち着いた声が聞こえました。
「まぁ。大蛇さん。何か姫に言伝でしょうか?」
それとも忘れ物をしたのでしょうか。いいえ、大蛇さんに限ってそれはないでしょう。守護五家のうちの最年長だし、普段からとても落ち着いた振る舞いをされている方ですからそれはありえないでしょう。鬼崎さんや鴉鳥じゃないんですから。
『いえ、そうではないんですが……』
大蛇さんが言い淀むのは珍しい。
鬼崎さんなんかは照れたときや気まずいときに言い淀むことは多々ありますが、大蛇さんはなかなかありません。いつも「大人」らしい余裕を持っていますから。もしかしたら初めてかもしれません。
笑わないでくれますか?と電話越しに大蛇さんが問う。はいと応えると、安心したのでしょうか。小さく息を吐く音が聞こえました。
『おやすみなさい。それだけ、あなたに言いたくて。……ちょっと、笑わないでくださいよ』
「ふふ、すみません」
なんだか可笑しくて、思わず笑ってしまいました。おやすみなさいを言うためだけに電話をくださるなんて。
でも嬉しかった。
大蛇さんがわざわざ私なんかのために電話をくださったことと、そのこそばゆい、あたたかな大蛇さんの好意がとても嬉しい。
「大蛇さん」
なるべく優しく聞こえるように、ゆっくりと受話器の向こうに語り掛けた。
「はい」
「おやすみなさい」
「……おやすみなさい。名前さん」
大蛇さんも小さく笑った。



→桃太郎(鬼灯の冷徹)

ドキドキしながらダイヤルを回す。受話器を持つ手が少し震えていた。ただ電話をするだけで何もやましいことはないと自分に言い聞かせて、受話器を耳に押し当てた。「──時報」すぐに切った。
よし、今度こそ。
受話器を耳に押し当てたまま、もう一回ダイヤルを回す。しばらくの呼び出し音のあと、「もしもし」とかわいい声が聞こえた。
「珍しいね、桃太郎くんがこんな時間に電話くれるなんて」
どうしたの?と聞く声はなんだか眠そうだった。申し訳ないなぁと思いつつ、声を聞けたのが嬉しい。
「えっと夜遅くにすみません。言いたいことがあったんですけどやっぱやめますすみませ……え?」
『もう。桃太郎くんたら電話切ろうとしてたでしょ。まだ寝ないから時間は大丈夫なのに』
「す、すみません」
「謝らないの。用事はなぁに?」
「…あー、その……おやすみなさいって言いたかったんです。…ちょ!笑わないでくださいよ!恥ずかしいんですから!」



→エース(ハートの国のアリス)
※もしもハトアリに電話があったら

メイドさんから受話器を受け取って耳に押し当てると、軽快な声が聞こえてきた。
「エース?あなたったら今どこにいるのよ」
今日も例のごとく、迷子になってて呼び掛けに応じなかったエースのせいで、ビバルディがおかんむりだった。美人が怒ると怖いとはよく言ったものだ。本当にこわかった。
「えーと、どこだろう?とりあえず森にいるよ」
思わず脱力して、ベッドに倒れこんだ。苦笑しているメイドさんに手を振って返す。
「どうしても君に言いたいことがあってさ」
「言いたいこと?」
「うん。名前、おやすみ」
「……は、それだけ……?」
「うん」
殴りたい。さわやかーな笑顔を浮かべて言い切るエースを思い浮べて、拳を握り締めた。目の前にいたら殴れたのに。
「ごめんごめん。でも言いたかったんだ。滅多に会わないから言う機会もないしね」
「あぁ、そう……。おやすみなさい」
「……うん、おやすみ。次の次の時間帯くらいには会おうぜ!」
無理だろうな、と思いながら電話を切った。受話器をメイドに渡すと意味深にほほえまれた。



→青空颯斗(st☆sk)
※+五年後

ふーっ、と白い煙を吐き出した。
やっぱり寒い。一応ジャージの上に上着を来てきたけど、足からどんどん熱が奪われていってしまう。タバコを咥えて、かじかんでいる手をすりあわせると、手先はいくらましになった。
息を吐いて、ついでに灰も落とすと、ちょうど電話が鳴った。
受話器を取ると、聞き慣れた恋人の声が聞こえてきた。
「もしもし、青空です。夜分遅くにすみません」
「ううん、気にしないで。どうしたの?」
まだ長いタバコの火を消して、部屋に戻った。
「実はあなたに、伝え忘れたことがあって」
伝え忘れたこと?首を傾げると、颯斗くんが優しい声で言った。
「ええ。おやすみなさいと伝えたかったんです」
「それだけ?」
「ええ。それだけですけど、とても大切な挨拶ですよ。……笑わないでください」
思わずクスクスと笑いをこぼすと、たしなめられてしまった。颯斗くんらしくて、嬉しかったんだよと言うと、今度はため息が聞こえた。
「颯斗くん、おやすみなさい」
「えぇ、おやすみなさい。また明日」



140225.



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