だいきらい






彼女はとてもよく笑う。
誰に対してでもとにかくよく笑う。
眉を下げて、したかなさそうに。
頬を上気させて、うれしそうに。
目じりを下げて、悲しそうに。
大口をあけて、楽しそうに。
眉を寄せて、困った風に。
口の端を釣り上げて、悪戯っ子みたいに。
そんな誰にでも笑っている彼女を見ていると、胸がズキズキするんだ。心臓が、痛くなる。
もしかしたら病気かもしれないと病院に言ってみたけど至って健康体らしい。新野先生や伊作先輩に聞いてみたけど、はぐらかされてしまった。やっぱり重い病なんだと落ち込んだ。
「…一個だけヒントをあげるよ。それは、どんなときになるのかな?それが、きっと答えだよ」
伊作先輩はそう言っては組の悪戯っ子たちみたいに笑った。
そうか。これは、彼女の所為なのか。合点が言った僕は、暫く彼女が視界に入らないよう、声の聞こえないようにと努めてきた。


力を込めて、彼女の首を締める。





「君がいるからいけないんだ」


「君が誰かに笑うとムカムカする。苛々するんだよ、」


「君は誰だっていいんだろう?僕じゃなくったってッ」












君がいなくなったら楽になると思ったのに、ちっと痛みは消えない。君がいないからよけいにつまらない。ねぇ、この責任、とってよね。








───────ぐしゃ













2013.03.26.




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