帰り道でなつにぃに会う



思っていたより帰りが遅くなって、帰り道を急ぐ。大学付属図書館で調べものをしているうちに、いつのまにか閉館時間になってしまったのには驚いた。だけどそのおかげで、来週末提出のレポートは大丈夫そうだ。重たいカバンをしょいなおして、上り坂を歩く。
それにしても、等間隔に電灯があるとはいえやっぱり夜道は不気味だ。こうも遅くなると人とはすれ違うことも殆どないし、虫や風の音ばかりでシーンとしている。……なんだか今にもおばけが出てきそうだなぁ。

「おい」
「うわぁぁぁっ」


急に声をかけられて、驚いて思わず頭を抱えてしゃがみこんだ。お、おばけ?おばけなの!?
おまえなぁと聞き覚えのある呆れた声が聞こえて、恐る恐る振り向くと、そこにいたのはなつにぃだった。


「よかったー…おばけじゃない」
「当たり前だ。ってかなんでこんな時間に出歩いているんだ」
「大学図書館で調べものしてたらいつのまにか閉館時間でしたテヘペロ☆」
「……今何時だ」
「午後十時ちょっと過ぎデス……」

帰ったあとの事を考えると背筋がぞっとする。

「閉館ってそんなに遅かったか?」
「八時だよ。……だからまだ間に合うと思ってお店入ったら友達がいてだべりながら食べてたらいつの間にか」
「時間が過ぎてたんだな」
「……その通りです……」

お説教コースを回避出来たと思ったのに、これじゃぁ元の木阿弥だ。うなだれるとなつにぃがまぁがんばれとでも言うようにぽんぽんと頭を撫でた。

「京にぃたち心配してたぜ。早く帰れよ」
「うんっ」


辨・くんはきっとあの一卵性双生児に呼び出された帰り。


 

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