つばにぃとあずにぃに起こされる


※原作の一年前
※従妹で一緒に兄弟と住んでる設定。昴くんと同い年


誰かに優しく揺らされて起きた。明るさに目が慣れなくて何度かまばたきしていると、上から耳慣れた声が誰かを叱る声が聞こえた。この声は、あずにぃだ。今日はつばにぃもいるみたい。いつもよりちょっと騒がしい。叱るような、と思ったのはきっとそのせいだ。


「おっはよー★早く起きないと遅刻するぞー!」
「ちょっと椿。あんまり乱暴に揺すらないの。……起きた?おはよう。ごめんね、椿がうるさくて」
「なんだよ梓も一緒に起こしただろー!」
「僕は椿ほどうるさくしてない」

じゃれるつばにぃを適当にあしらうあずにぃ。二人一緒だとよく見かける光景だ。三つ子の末っ子のなつにぃがここに入ると、二人がなつにぃをいじっているのが普段だ。つばにぃのストッパー役のあずにぃがそうやってすすんでいじるのはなつにぃばかりだ。別にいじられたいわけじゃないけど、ちょっとうらやましい。
朝なかなか起きない私を起こしに来るのは、大抵あずにぃだ。たまにつばにぃが一緒で、その日の朝は決まってちょっと騒がしい。
あずにいは朝早くからの仕事が入ってる日以外は毎日私を起こしてくれる。だから私の朝は、いつもあずにぃの声を聞いて始まる。

「昨日、夕飯いなかったろ?京兄が心配してたよ」
「……そんな早くに寝たっけ」
「みたいだね。ほら、早くシャワー浴びてきなよ。どうせ昨日は入ってないでしょ」

……あぁ。そうだ、昨日は疲れてて帰って早々ベットにダイブしたんだっけ。多分そのまま寝ちゃったんだろう。最近は怠けてたのがたたって、課題が終わらなくて夜更かししてばっかりだ。一応、三時には寝るけど、あんな短い睡眠時間じゃ寝たりない。授業中に寝そうになることもままある。まだ寝たりなくて欠伸をするとあずにぃがまた笑って、私の頭を撫でる。とたんにつばにぃがずるい!と言って一緒に頭を撫でる。髪の毛がよけいぼさぼさになるからと普段なら止めるとこだけど、いかんせん今日は眠い。夜更け前には寝たのに、まだ寝たりない。

「まだ眠いの?」
「うん……もうちょっと寝たい」
「大学休むー?んでー、俺と遊ばね?」
「ダメだよ、何言ってるの椿。あんまりわがまま言ってると京兄呼ぶからね」
「えぇー!いーじゃん一日くらい!」
「つばにぃそれ私の台詞だよ……」
「ほら、起きて。ホントに京兄呼ぶよ」

仕方なく起き上がると、あずにぃが私の頭を撫でてえらいえらいと言う。子供扱いされてるようで、ちょっと複雑だけどあずにぃの大きな優しい手で頭を撫でられるのは大好きだ。子供の頃からずっと。
つばにぃはちぇーといいながら、私の肩に顎を乗せた。

「一日くらいいいじゃんかなぁ」
「椿」

あずにぃが一言、名前を呼ぶとはいはいと返事しながら、つばにぃが退いた。ベッドから降りて、ボードに貼ってある時間割を確認する。今日は一限があって、その後二、三限が空いてて四限がある。時間割の隣のカレンダーを見ると、今日は五時九時でバイトが入っていた。

「朝食は?」

時計を見ると、七時ちょっと過ぎだった。これからお風呂入って準備しての時間を考えると朝食を食べる時間が惜しい。一限の後が空いてるからカフェテリアで軽く食べればいい。そう思って首を振ると、あずにぃはじゃぁ簡単に食べれるもの用意してもらってくるよと、私の返事も聞かずに出ていってしまった。つばにぃも、私の頭を撫でると、「早く着替えろよー!」と言って出ていってしまった。



 

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