京にぃにお説教される
すーっはー
深呼吸してから、ドアノブを握った。ああ、気が重い。
「ただいまです…」
「遅い!今までどこに行っていたんですか。あなたの門限は10時でしょう」
「ごめんなさい!」
ドアを開けるとそこには京にぃが仁王立ちで怒って立っていました。怖い。
朝日奈家に具体的な門限はないけど、私にはある。私はみんなの従姉妹で、大学進学に合わせて美和さんが所有するサンライズ・レジレンスに引っ越してきた。私の家では明慈大学に通うには遠すぎる。
「一体こんな時間までどこをほっつき歩いていたんですか。いくら大学の図書館に閉館ぎりぎりまでいてもこんな時間にはならないでしょう。だいたいあなたは平素から時間を気にしなさすぎです。あなたも来年には二十歳でしょう。もっと時間を気にして余裕を持って行動できるようになりなさい」
実家でも散々言われてたことだ。耳が痛い話だなぁ、全然進歩してない。もっと時間を気にするように気を付けよう。
情けなくて俯いていると、ふいに京にぃが私の頭を撫でた。
「まったく……あんまり遅いから心配しましたよ。次からはきちんと門限までに帰ってくること。あなたになにかあったら、叔母さんたちに申し訳ないですからね」
「はぁい」
京にぃを上目遣いに見上げると、京にぃは苦笑していた。
「夕飯はちゃんと食べましたか?」
「うん。友達と食べてきた」
「明日も一限からでしょう。今日はもう寝なさい」
「そーする。京にぃ、お弁当ありがとう。美味しかったです」
カバンからお弁当箱を手渡す。京にぃはお弁当箱の中身が空っぽなのを確認して、ちょっと嬉しそうに微笑んだ。
「お粗末さまでした」
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