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──ねぇ、伊作。生まれ変わりって信じる?

生まれ変わり?

うん。私ね、生まれ変わっても絶対に伊作を見つけるわ。だからね、伊作。

うん?

私が死んでも、落胆しちゃだめよ。ちゃんと生きて、死んでね。それで、来世で会いましょう。約束よ、伊作―‐-…‥



多分善鶴は、分かっていたんだろう。今度の忍務が、とても危険でもしかしたら生きて帰ってこれないかもしれないと。僕は善鶴をうらんだ。帰れないかもしれないと知りながら、忍務へと向かった彼女を。最期まで彼女は忍だった。
善鶴のものは、全部燃やした。
見ていると辛くて、悲しくて、胸が張り裂けそうだった。だけど、僕が彼女に贈った萌黄色の髪紐だけは、手元に取っておいた。
三日三晩泣いた。

そして僕は、決意した。


きちんと生きよう。


生きて生きて生きて、それで、死のう。
善弦が望んだように。
そしてまた、来世で会おう。


もう一度、僕と恋をしよう、善弦。


大好きだよ、善弦






幼い頃から繰り返し見た夢が前世なのだと気付いたのは、16の時だった。何をしていても、心のつっかえが取れなくて、それが高校に上がってふと無くなった。程なくして、前世の同輩たちと同じ学校だと言うことに気付いた。全員が覚えているわけでは無かったけど、嬉しかった。でも、満たされなかった。仙蔵たちと遊んでいてもどんな女の子と付き合っても、ダメだった。満たされない。つっかえは取れたのに、どうしても、何をしても。
何かが、足りない。



そしてある晩、夢を見た。


夢の中で少女はひまわり畑を満足気に見下ろして、笑っていた。

『綺麗でしょう。君が喜ぶと思って』

『本当、とても綺麗…』

まるで物語の中に居るみたいねと彼女が言った。僕はそれに吹き出して、笑う。そしたら怒った彼女が僕の髪をぐしゃぐしゃに掻き混ぜて。それを避けようとして――二人揃って、ひまわり畑に落っこちた。

『もう、伊作がいけないのよ!抵抗するから』

『君が僕の髪をかきまわすからでしょー』

『だって伊作が笑ったんだもの』
拗ねたふうに唇を尖らして、彼女が言う。僕はそれにまた笑って、それから言った言葉に、彼女が真っ赤になる。

『伊作のばぁか』

照れた彼女が膝に顔を埋める。僕は彼女を後ろから抱き締めて、

『好きだよ、善鶴』

『…私も』




善鶴。
口に出してみると、しっくりした。足りないピースがやっと合わさったような、そんな気がした。
それから方々手を尽くして調べたけど、まだ彼女には会えていない。仙蔵や留三郎たちとはすんなり会えたから、君にもすぐに会えると思ったんだ。


ねぇ、僕は生まれ変わったよ。

善鶴。

君は今、何処にいるの?







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