ねぇ、好き、愛してるの…。 だからお願い…、私にも貴方の気持ちを教えて…お願いっ…… …て、凄い積極的だよね〜。…これ、本当に卒業公演でやるんだよね?こんな恥ずかし過ぎる役、本当に私がやるんだよねっ!?うあああああ!!いやだあああああああああ!!」 「煩い、黙って台本読め。」 私と今、人の必死の訴えを一刀両断しやがった外見は奇麗だかカッコイイだか…両方言われてるうちはサスケ君は灯油が切れてしまいストーブが使えなくて寒くなった部室にいる。私達は、さっきの会話を聞いていたら解ると思うが演劇部だ。去年の四月に三年にあがり、今年の三月にはもう卒業だ。その為、私達は卒業公演に向けて劇の台本の読み合わせをしている。公演は三月下旬。卒業式は終わっても部活の引退は卒業公演後になる。ちょっと面倒臭い…いや、だいぶ面倒臭いがこれも三年間の総括だと思えば頑張ろうと思えるものだ。三年は私とサスケだけなので強制的に私はヒロイン役をやる事になってしまった。サスケはいつも主役だから変な緊張みたいなものは無いみたいだけど私は違う。常に脇役だった私がいきなり劇の中心になるなんて緊張しない訳が無い。それに今まで私は男装して男役をしてきた。男性部員が少ないって事もあるが中身が殆どオッサンなので自ら男性役を務めていたのだ。それなのに、今回の役はヒロイン…。めちゃくちゃ女の子って感じの女の子…。出来やしない…、つか恥ずかし過ぎる。今直ぐこの役を降りたいくらい恥ずかしい。だが、さっきも言ったがこれは卒業公演ようの劇だ。私とサスケが主役をやる事は確定している。腹を括るしかないのだ。腹を括るしか…。 「はー…、こんな女の子って女の子の役私に出来る訳無いんだけど……。」 「仕方ないだろ、お前しか三年の女はいないんだからな。」 「なんて嫌味っぽい言い方すんのよ…、サスケ。」 「俺だって女だか男だか解んねーお前の相手役何かやりたかないんだがな。」 「黙ってくれない?私だってアンタみたいな腹の黒い外見だけの男の相手役何かやりたかないっつーの!!」 女子から馬鹿みたいに人気のあるサスケだが、私はコイツを好きになる事は無い。うん、絶対に。…そら初対面の時は『美形だな〜。』って思って見とれた事はあったけどさ!だって、コイツ腹黒いんだもの!!初対面の私に向かってコイツはあんな事を言いやがった…『お前、大根役者にもほどがあるだろう。』普通言う!?初対面なんだよ!!初めての部活の顔合わせで新入部員はやった事のある役を少しやって先輩方に各々の実力を見てもらうのだがその時の一言がこれだ。もう一度言おう、普通言う!?初対面の相手に!!あの時から私はコイツを目の敵にして練習をした。といっても、悔しい事にもサスケは演技が上手い。本当に上手い。ムカつくほどに上手いのだ。必死に練習して最近ではやっとサスケからダメ出しをくらう事は減ってきた。そのおかげか、少しは打ち解ける事が出来たのだがサスケの嫌味っぽいところは変わらなのでやはり恋愛対象ではない。友達なら頑張れなくは無いけど…。こんなの彼氏だったらずーっと嫌み言われそうだしね。無理、無理!つか、コイツに恋愛対象として見られてる訳無いからそんな事ありえないんだけどね!! 「はぁ…。つっても、どうやったらこんな女の子女の子した役を彼氏いない歴=年齢で初恋もまだな私が出来るっていうのよ……。」 「お前…、恋の一つもした事無いのか。」 「煩いわねっ!その『うわ〜。』とでも言いたげな目でコッチ見ないでくんない!!」 「そら女らしくない訳だな。」 「うわ〜、本当に嫌な男〜!」 「恋の一つや二つ、この年の女ならした事あるだろうよ…。無いとか、逆に引くな。」 「う、うるさいっつーの!!何よ!!アンタこそ恋した事あるわけ!!」 「……あるに決まってんだろ?」 「え?…あんの!?女なんかどれも一緒だとでも言いそうなアンタが!?」 恐ろしい事を聞いた…。このモテ男に好かれてる女の子がいるなんてしったら我が校の大半の女子生徒が嘆き悲しむだろう。そして、その好かれている女の子は嫉妬に荒れ狂う女どもの標的になるであろう…。可哀想だ、なんて可哀想なんだ。でも、こんな人の感情なんか持ってなさそうなコイツの好いた相手…少し興味がわく。 「…ねえ、……その好きな子?好きだった子?…まあ、どっちでもいいけどその子私の知ってる子?」 「なんだ、気になんのかよ?」 「す、少しね!すこーし気になる!サスケなんかに好かれた相手!」 「おまっ、…まあいい。……教えてやろうか?」 「え?マジで?教えてくれんの?」 「ああ。というか…、お前なんだけどな。現在進行形で。」 「………は?」 嘘だと言ってくれ (で?返事は?) (う、嘘言ってんなよ!!このデコっ!!冗談キツいっての!!) (…寧ろ、俺が嘘だと思いてーよ…。) (…え?本当なの!!?…え?はああああ!!!?) |