人参、玉ねぎ、じゃがいもにカレールー。お肉は鳥かなと買い物かごに今日の夕飯の材料を入れていく。兄さんが数日前に両親に旅行でもしてきたらどうかと宿泊券を渡したので今日は子供だけ、必然的に今日は休みの私が作ることに。普段、母の手伝い程度にしか料理をしないのでまず失敗をすることのないカレーを作る予定だ。バランスが悪いと兄さんが嫌な顔をするので出来合いのポテトサラダを買っていく。勿論、サスケのトマトも忘れない。これを忘れると拗ねてしまうのだからまだまだ子供だ。
ついでにデザートでも買っていこうとスーパーの会計をさっさと済ます。デザートといったらやっぱり馴染みの甘味処の三色団子だ。サスケにはみたらし団子でも買ってあげようかと鼻唄混じりに買い物袋を揺らす。たまに普段しないことをすると楽しいんだなとついつい笑顔になってしまう。



「あれ?サスケー!任務終わったのー?」

「……姉さん、なんだよ今日カレーなのかよ。」

「なによ、嫌なの?でも残念、姉さんが自信を持って作れるのはカレーだけです!」

「………胸を張って言うな。」



甘味処に向かう途中、済ました顔で歩く我が弟が歩いていのでついつい駆け寄る。任務が終わりなら着いてこいとサスケを引き連れデザートを買いにいく。
今日は物置の屋根の修理をしたそうでつまらなかったと愚痴を漏らすサスケの頭をつい撫でてしまう、割りとブラコンだという自覚はある。何すんだと振り払われても頬を赤くして言われては可愛いとしか思わない。なんだこれは、抱きしめようか。



「やめろよ、馬鹿姉!!」

「可愛いサスケが悪いんですー!姉さんは馬鹿じゃないですー!」



うりうりと頬を擦り寄せると照れではなく本気で嫌がられた、酷い弟だ。仕方なく離してあげる。この年頃だとこんなの友達に見られたらからかわれるものね…分かってはいるんだけど抱きつきたかったのだからしかたない。



「つれないなー!姉さん、サスケが大好きなだけよー?」

「…うるせぇ!!」

「やだもー、可愛くな〜い!」

「男が可愛いとか言われても嬉しくねーんだよ!」

「それはそうだな。それにしても、俺はハブか?兄さんは、妹と弟に嫌われるようなことをしたか?」

「え、あれ?兄さん!任務は?」



背中に鈍い衝撃を受けたと思うと腕が前に回ってきて慌てて後ろを振り向く。振り向いた先には悲しそうな顔をした兄さんが。いやだから兄さん。気配消して近付くなよ!気付かない私が悪いの分かってますけどね!



「別に、たまたま会っただけ。」

「そーそー、そんで今からデザートを買いに行こうかと。だから兄さん、早く離して。」

「いやだ、このまま行くぞ。」

「動きにくいよ兄さん!ちょ、先行かないでよサスケ!」

「付き合ってらんねー。」



薄情者の弟を引っ付かれていて動きにくいながらも必死で追いかける、というか引っ付くというよりこれは本当に全体重を掛けてやがるこの兄貴。



「離れろ馬鹿兄!!もー、重いんだよー!!」

「姉さん、兄さん、おせーよ!」



その後もぎゃーぎゃー騒ぎながら買い物袋を揺らしに揺らしていせいか、甘味処に着いた頃には袋の中で材料がぐちゃぐちゃになってしまったのは言うまでもなく。改めて買い物に出向いたのは妹を怒らせてしまったイタチ一人だった。


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