『お前より好きなんだ。アイツの事。』







これが、彼から私に向けられた最後の言葉だった。

三年ほど付き合っていた。……うん、『いた』って過去形になってしまっている辺りまた泣きたくなってきた。こんなに泣きたくても、今の彼は私の彼ではなく他の誰かの彼なのだ。それは揺るぎの無い真実でありどうしようもない現実だ。こんな真実、信じたくは無いのだが今現在私の隣に彼はいないのだから信じる他無い。この事を、友達の退に伝えると『俺に言われても困るよ。』と言われ相手にもしてくれなかった。友達だと思っていたのは私だけなのかと言ったら優しく頭を撫でられた。友達ではあるらしい。だが、数分間頭を撫でてくれていたと思ったら『これで気はすんだ?』なんて言い放ちやがった。やっぱりコイツは友達ではないと思った。退に相談した事が間違いだったとその場を立ち去り屋上に向かう。屋上は鍵が掛かっていて人が入れない様になっている為、屋上に向かう通路や階段は人が通らないのでぼけーっとしたい時には最適なのだ。屋上に向かって歩いていると彼を見付けた。この通路の先には屋上に向かう階段しかない為、必然的に彼の目的地も屋上と言う事になる。そろそろ授業が始まるのに、どうしたのだろう?気になる……が、私は既に彼の隣にいるべきでは無い。別れてからは声をかけた事も無いので見なかった事にしたいのだが、私は屋上の手前の踊り場に用(サボりに行く)がある。これは譲りたくない。と言うより譲ってしまうとサボる場所が無くなってしまう。それだけは避けたいので仕方なく少し距離を取りつつ歩く。あまりの気まずさに心が折れそうだが負けてたまるかとこんな馬鹿みたいなところで負けん気を発揮する。…あぁ、何だか退の馬鹿じゃないのって声が聞こえてきた気がするが気にしない。馬鹿で良いからそんな幻聴でまで私を無下に扱わないでほしい。今の私の心は木工用ボンドで破片と破片を押し付けただけの可哀想な状態なのだから。
そんな事を考えていると屋上が目前になっていた。あれ?彼は何処へ…と、思っているとキィーっと何だか古ぼけた音が上から聞こえてきた。上を見上げると屋上の扉を開けている彼を見付けた。え?何で?鍵がかかっている筈なのに…、そんな事を思っているとぱたんと小さな音を立てて扉が閉まった。彼は比較的真面目な方だと思っていたのにこんなところで無いをしているのだろうと興味本位で音をたてない様に扉を薄く開け屋上を除く。


私は走った。何処に?そんな事、決まっているじゃないか。
















「さがr、…退っ!!!」

「……もう、何なの?今度は何?」

「アイツ…、死ねばいいよッ!!」

「あー、現実見たんだね。馬鹿だな、君は。気付くの遅すぎるよ。」

「うわあぁ〜!!退ーーっ!!」

「ちょ、来ないで、汚いから。鼻水付けたらいくら君でも許さないからね。」

「ねぇ、今授業中ってお前ら解ってる?」

「アイツなんか爆破されて一片の細胞も残さず消え去れっ!!!」

「うん、解ったからこっちに近づいて来ないで。鼻水汚い。」

「オーイ!聞いてますか〜?反抗期ですか〜?コノヤロー。」





現実なんか糞以下だ


(アイツ、屋上で女の子とニャンニャンして…… )
(ニャンニャンって…、それ死語だよ。)
(ねぇ、俺の声聞こえてる?ねぇ!!聞こえてるよねッ!!?)






++++++――… 。

冷たい退が書きたかっただけでs(オイ
『アイツ』はお好きな3Zメンバーを御想像下さい。



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