雲に覆われた空を眺める。場所は屋上。保険医として母校に帰ってきたがつい学生の頃のように屋上に来てしまう。昔はあの手この手で手に入れた屋上の鍵、今や何の苦労もなく手に入ってしまう。何だか笑えた。
外からは昔とかわりなくどこかのクラスが体育をしている声が聞こえる。煙草を吸い、一息つく。昔なら怒られたであろう事をすんなり出来てしまうと年月が経つのは実に恐ろしいと思う。



「先生?」



びくっと柄にもなく肩が跳ねた。誰も来ないと思っていたからか体は予想以上に反応してしまったようだ。少し気恥ずかしく思いながら声のした方に振り向く。



「あー!さぼり?先生が保健室空けてていいの〜?」

「お前こそ、授業はどうしたんだ。」



そこにいたのは遅刻常習犯で保健室に良く来る(サボり)すっかり顔馴染みとなってしまった顔がニヤニヤしながら立っていた。にししと笑いながら歩いてくるが此処にいることが可笑しいのはお前もだろと突っ込んだ。



「私は今着いたんだもーん!中途半端に授業受けんのもかったるいでしょ?ほら、先生はあそこで汗流してる連中の中に入っていきたいと思う?」

「…………………思わねーな。」

「でしょ?だからここで一休みしてから次の授業に出るの!」

「とりあえず教師を前にして言う台詞じゃねーな。」

「だって先生も昔はよくここでサボってたんでしょ?」

「……………誰に聞いた?」

「まっつん!」

「は?」

「松平!あと、銀ちゃんもそんなこと言ってたな〜!」

「お前、松平と仲良いのか?」

「うん!栗子ちゃんの事よく相談されるんだよね〜!」



銀時は後で捻り潰すとして…、こいつが今までサボり続けることが出来た理由が分かった。松平の野郎…こいつを娘のように可愛がってるわけだ。そら成績も下がらねーよ。多分、遅刻も揉み消してんな。教師のやる事じゃねー……まあ、ここにはまともな教師なんかいやしねーけどな。



「で?その松平が担当だろ、今の授業は。仲良いなら出てこいよ。」

「いやいや、最初に言ったじゃん私!かったるい!だって見てよ…まっつん何か愚痴ってるでしょ?多分栗子ちゃんと何かあったんだよ。ここ最近ずーっと栗子ちゃんから愚痴聞いてたからまっつんの話まで聞きたくないんだよね。かったるいもん。」

「……………お前、娘とも仲良いのか。」

「私の人脈をなめてもらっちゃー困るね!」



何故か自慢げに話している顔が腹立つな。何故か少し反り返るような姿勢で人を指差しどや顔…コイツは人をバカにすることに長けているようだ。つかつかとそのアホ面に歩みより頬を摘まむ。伸ばすだけ伸ばして変に横に延びだ顔を見て仕返しと言わんばかりに鼻で笑ってやった。


「ひょ、ひはい!ひはい!はにゃひへ!」

「いい面になったな。」

「ひゃいへーひょーし!!」

「あ?日本語喋れよ、わかんねーよ。」

「にゃらはにゃしぇ!!」



チャイムが鳴る五分前

(先生の鬼畜!!ドS!!)
(好きに喚け。)





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