「で、今後桐間とどうすんだよ?」

 ソファーの背もたれに腕をかけて問う龍太に、向かい側に座る春は驚いた顔をする。その春の隣に座っている浩は、ごもっともかでもいうように、無言で春を見ながらハンバーガーにかぶりついていた。
 ふたりから注目を浴びている春は、というと眼鏡を中指であげながらジュースのストローを噛むと、真っ直ぐとこちらを見る龍太から目をそらす。がじがじと答えも出さすにただ噛む春を見て、龍太の笑っていた顔に青筋が浮かんだ。それを見て浩が慌ててフォローをする。

「せ、急かすこともないだろう、しゅんにはしゅんの考えがあるんだろうし」
「まぁ、なら口出しはしねぇけど、ってしゅん! 女々しくストロー噛むんじゃねぇ、かわいくねーから!」

 まだ目をそらしながらストローを噛む春を指差しながら、叫ぶ龍太。それをみて浩は苦笑いをするだけだった。
 学校の帰り、なんだかんだでいつもは春と帰る桐間がいそいそとかえってしまったので、久しぶりに春と浩と龍太で集まることにした。あと三日後に期末テストがあることをいいことに、勉強会と称して桐間とのこれからの発展に、龍太が案を出そうと言い出したのだ。だが、いつものようにお安いファーストフード店に集まったは良いものの、一時間は他愛もない話で盛り上がってしまい痺れを切らした龍太が話をふれば、春は照れてしまうばかりである。

「だ、だってさ、どーするもこーするも、せっかく仲良くなれたのに恋には持っていけねーよ。」

 やっと口を開いたかと思えば、随分と弱気な事を言い出す春。それを見て我慢していた龍太から、ぶちり、とどこかが切れた音がした。
 春のジュースを取り上げると、蓋とストローを取りそのまま口をつけて飲み干す。春はされるがまま呆然と見ていて、浩はそれを呆れた顔で見ていた。
 龍太は飲み干した紙コップを大きな音を立てて、机に叩き付けると濡れた口元をふく。そして、ばし、と春を指差した。

「もじもじすんなよ! 好きって言ったら付き合うまで突き通せ、それが男だ! でなきゃ、浩がフラレタのがなんかまじでかわいそうじゃねーか!」

 な、浩! と龍太は浩に話題をふるがその痛い過去を掘り出し、ネタにされたことでなお浩の心は削られているので、浩は声にならず固まってしまう。浩が春に本気で告白したのが龍太にバレたのはまだ良かったが、まさかこんな風に出されるとは思っていなかったのだ。
 そして無神経なのは龍太だけではない、浩の隣にはもっと恐るべき無神経がいた。春はそっか、と納得すると眼鏡を押さえながら浩の肩を叩く。




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