「よっ、おはよう。」

 教室に入ると、手を挙げて挨拶してきたのは龍太だ。龍太は金髪が揺らしながら立ち寄り、清々しい笑顔を二人に向ける。

「おはよう、龍太」
「おはよう、山辺」

 二人も笑顔で返すと、龍太は浩の言葉に眉間にしわを寄せた。浩の肩をつかむと、鋭い目付きで睨む。あまりの龍太の目付きに、浩はなにかしたかと首を傾げれば、龍太はいきなり浩に泣き付いた。

「おい、なんで名字なんだよ。なんで距離置くんだよー!」
「あ、いや慣れなくて」
「もう会って1ヶ月たってるだろ? しかも春のことは、しゅんって呼ぶし。妬けんな〜」

 龍太が言うと、1ヶ月は短い、と浩は苦笑いしながら、席に鞄を置いた。
 二人が龍太と会ったのは、1ヶ月前、2年になりクラス替えをした4月のことだった。春と浩とは掛け離れた取り巻きに、異常に派手な容姿。二人は1年の頃はクラスは違かったが、目立つ存在だったため、龍太のことは知っていた。そして2年になってから春と浩はクラスが同じになり、龍太とも共になった。体育祭の決めごとで話してから、見た目とは違う親しみやすい性格に二人は龍太と仲良くなっていき、いまに至る。
 最初は龍太の取り巻きに話された時は驚いたな、とつい1ヶ月前のことを思い出し、春は笑った。

「種目のアンケート集まったのか?」

 龍太の席の前に浩は座ると、思い出したように聞く。浩の言葉を聞いて、龍太は顔をしかめさせた。

「あっ、それがよ、出さねぇ奴、多くてなー。期限今日までで、俺出してねぇ奴らに声掛けなきゃなんねぇんだよ」

 龍太は係決めの日に休み、体育祭委員に決められた。普通ならばやらない人の方が多いが、やることはやる、と決めている(勉強は別だが)龍太は委員会だけはきちんとやっていた。
 だが、種目決めのアンケートは出さない人が多く、出さない人には体育祭委員の龍太が直接アンケートを出すように促さなければならない。実際、龍太が話し掛ければ皆いそいそと差し出すと思うが、多いため、龍太はやる気を無くしていた。

「でも出さなかったら龍太怒られるんだろ」
「まぁな。別に何言われてもいいんだけどよ、やり通すのが俺のモットーなんだよ」
「なら早く出せ」

 春のもっともな意見に、龍太は少し苦笑いする。出していない検討者が書いてある紙を見て、浩が首を傾げた。





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