功士の言い方は冷静過ぎて、春の頭には入ってこなかった。少し時間が経ってから、春はやっと反応が出来るようになるが、あまりの驚きにまたなにも言えなくなる。
 功士と理依哉では違いが有りすぎた。容姿はまったく似ている所は無いし、もちろん性格も似てない。だが確かによく考えてみれば高校は春の家から近いわけではないのに、春の家の近くで理依哉と会ったことがあるし、年齢的にもあっている。息子がいるとは聞いていたし、すぐに納得した。だがどこをもらって、理依哉は生まれたのか春には理解が出来ない。しかも功士の名字は“富端”であり、“桐間”ではなかった。頭につくクエスチョンマークを取るように、功士はまた理依哉のことを語りだした。

「理依哉は、僕の本当の子じゃないから。」
「え、」

 春が心底驚いた顔をすると、功士は無理もないか、と苦笑いをする。理依哉と功士が家族と言うこともはじめて知ったのに、それをいきなり違うといわれたようで、春は混乱した。それをわかったうえで、功士は話を続ける。

「理依哉は前の恋人の子供で…。その女の人とは結婚していないし、正式に理依哉を息子とは呼べないけど。」
「それでも、自分の子供と思ってるんですか?」
「もちろん、彼は僕の息子だよ。」

 功士のあまりにも強い真っすぐな目に、春はなにも言えなくなった。堂々と、自分の子供だと言う功士を凄いと純粋に思った。そして同時に野暮な事を聞いたと思う。

「すみません、そうですよね。」
「謝らなくていいよ。普通なら僕の考えがおかしいしね。そうだ、春くん、話すと長くなるけど、聞いてくれるかい? 君には理依哉のこと知って、理依哉と仲良くしてほしいんだ」

 春は考える前に、すぐ頷いた。実際、春も理依哉の全てを知っておきたかったし、それを知れたら理依哉に少しでも近付けると、自分の中で確信したからである。
 功士は、春が理依哉に興味をもってくれたことが嬉しいのか、表情を緩ませながら話した。

「春くんは小さかったし、見たことないと思うけど、恋人が居たんだ。俺より年上の美奈子さんって言うんだけど、その人の連れ子が理依哉でね。理依哉の父親は、ひどく暴力的でその父親から逃げるために美奈子さんは俺の家に来た」





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