14 「対象の討伐を確認」 『すべてのオラクル反応の消失を確認しました。お疲れさまです』 「ふー今日も終わったなー」 「お疲れさまです。先輩たち、本当にすごいです」 数度目になるミッションに同行させてもらった日。ミッションが終わったことに一安心して、ロミオ先輩と雑談を始める。ジュリウス先輩は、フランさんと会話を繰り返しながら、ロミオ先輩と私を見た。 「フラン、近くにアラガミの反応は?」 『ありません』 「了解。2人とも資源回収に回れるか?」 「あ、ラケル博士に頼まれてたやつ?」 「ああ。俺はコアの回収をしてから合流する。…これがリストだ。2人で手分けしてくれ」 「りょーかい!」 「わかりました」 「危険だと思ったらすぐにその場を離れるんだ。いいな?」 「うん、分かってる。んじゃ、ブラッド、ぱぱっとすませようぜ」 「はい!」 ロミオ先輩からリストを一枚受け取って目を通す。そこまで珍しいものは無いようで、すぐに集まりそう。ほっと息をつく。 「そういえばさ」 「はい?」 途中までロミオ先輩と一緒に資源を回収しながら並んで歩く。 「この前一緒にデザインした服に必要な素材のリスト出来たんだけど、ついでに一緒に集めとく?」 「わ、ありがとうございます!必要な素材ってどんな感じですか?」 ロミオ先輩が取り出したリストをのぞき込む。最近はロミオ先輩と一緒にお洋服を作っていて、初めは素材の見分けもつかなかったけれど、基本的なものは覚えてきた。今回も珍しい素材は必要なさそう、かな。 「これならラケル先生の素材と一緒に集まりそうですね」 「うん。じゃあブラッドはガラス繊維を集めてくれる?」 「はい!えっと、ガラス繊維はあっちの方ですよね」 「そうそう!俺はあっちで他に必要なの集めるよ。暫くしたらここに集合な!」 「了解です!ラケル先生のも忘れちゃ駄目ですよー?」 「わかってるよー!」 走っていくロミオ先輩の背中を見送り、私も急いで歩き出す。あたりは生き物の声ひとつしなくて、地面を踏みしめる音だけが響く。 「あっあった!よかったあ…」 何カ所目だったか、ようやく目当ての素材を見つけて袋にしまう。メモを取り出して、もういっかい目を通す。これで目標のものは一通り揃ったみたい。戻ろうとしたとき、近くで何かが動いた気がして、息が止まる。 「気の、せい…?はあ…びっくりした…」 暫くじっとしていても変化はなく、再び歩を進める。アラガミが徘徊している外の世界を1人で歩くなんて、ゴッドイーターになるまでは想像もつかなかったなあ。 あたりは本当に静かで、そよそよと風がふく。こうしていると、アラガミがいることが嘘みたいだと思う。最も私自身、近くでアラガミを見たのはゴッドイーターになって初めてだった。 「…ひとりってさみしいな…」 とぼとぼと、来た道を戻る。柔らかい風が吹く。荒廃してしまった外の世界には小鳥一匹いなくて。せめて、生命を感じられる、例えば動物とか、昆虫とか…何かが居てくれればいいのに、なんて思ってみる。 「なにか、いないかなあ…」 ふと。 「え…」 空気が、変わる。風が、ふく。それはさっきまでと同じだけれど違う。違って、だって、何か、とても…。 「…?」 靄がみえた。黒い、ような、暗い。歪に、徐々に正確に形作られていくそれは。 「…もしかして…アラガミ、が…」 生まれる…? 無意識に、神機を握りしめていた。 (…なにか、くる…). |