最後のキスがあまりにも優しくて ※ついったーの診断メーカー様よりお題拝借 「あれ…あそこにいるのって、コウタ隊長と…?」 「あれ、お前会ったことないんだ?あの人がコウタ隊長の彼女だよ。クレイドルの」 「えっそうなの…?…あー何て言うか…コウタ隊長がのろけるのも分かる…」 「だよなあ…。しかも元第一部隊の隊長だろ?コウタ隊長も今の隊長だし、ほんとお似合いだよな」 「ったく、聞こえてるって…」 まだあどけなさの残る少年たちの話し声が聞こえてくる。自分と同じくその話が聞こえていたらしい、恥ずかしそうに髪をがしがしとかきあげるコウタを見て、小さく笑う 。 「あの子達は?」 「俺んとこの新人。まだまだ目は離せないけど、結構筋はいいんだぜ?」 「隊長のお墨付きなら安心ですね」 もう少し、もう少しだけ。 何気ない話を繋いで、紡いで。 また、極東を離れなければならない。 いつものことだから、もう大丈夫 。 ただ、無事でいてくれれば。また、会えれば。 「そろそろ、行かないと」 ゆるゆると絡めていた指で遊ぶ。うん、と小さく呟いて、額を寄せる。こつり、小さな音を立てておでこがくっつく。 「ちゃんとご飯食べてよ?」 「はい…コウタもですよ?」 「うん、分かってる。掃除もちゃんとするから」 「ふふ、そうですね。…じゃあ、そろそろ行きますね」 「ん…」 額が離れ、体温が離れる。最後に絡めていた指が離れていく。 「いってらっしゃい」 下を、見る。 去っていくバーストの姿を見守るのは、いつまでも苦手だ。 「コウタ」 「…、わ」 気が逸れていて、気づかぬ間に目の前にバーストの顔があった。なに、と紡ぐより先に、ちゅ、と一瞬だけ、本当に一瞬だけ唇が触れた。 「…いってきます、です」 小走りで駆けていったバーストの耳が真っ赤で、つられて顔が熱くなってくる。 「……ほんと、反則、だって」 その場にへたりこむ。去り際にキスだなんていつの間に覚えたんだって思う。次に帰ってきたときはみんなの前だろうとお構い無くこっちからしてやろうと心に誓って。 (最後のキスがあまりにも優しくて) (いつだって離れるときが一番逢いたくなるんだ) . |