共鳴シンパシー






「ハルさんっハッピーバースデー!!」

「いやあ、照れるなあ」


食堂に並べられたおいしそうな料理、楽しそうに笑う後輩達に囲まれながらハルオミはおどけながら笑う。


「おまけにブラッドまで来てくれてるんだもんなあ」

「せっかくのお誕生日なんですから!あっおでんパンも食べて下さいね」

「あー…気が向いたらな」


がやがやと賑やかな席は結構好きな方だし、今だって可愛い後輩達に祝われて非常に嬉しい。
それなのに、どこか欠けている気がしてならない。


「あの、お祝いの席なのに申し訳ありません…」

「ヒバリさん?どうかしたの?」


食堂の入り口近くにいたコウタが眉を下げながらドアを開けたヒバリに声をかける。


「はい。たった今、ブラッドに新しいミッションが来まして…すぐに出られますか?」

「またかよーアラガミってタイミング悪いよなあ」

「ロミオ、駄々をこねては駄目ですよ」

「はあい」

「…分かりました。すぐに参ります」

「すみませんが、よろしくお願いします」

「…申し訳ありませんが、少し席を外します」

「気にすんなって。気をつけてな」

「はい、お心遣い感謝します。ブラッド、出るぞ」


ジュリウスに各々返事をし、ぞろぞろとブラッドが食堂から出て行き、少しだけ静かになる。


「コウタとアリサはまだ酒飲めないんだっけか?」

「そうですってば…。飲むたんびに聞かないで下さいよ…」

「まあまあ、コウタ」

「ははは、いやあ俺も年だなー」


のんびりとコウタやアリサを構っていると、突然外ががやがやと騒がしくなる。


「なんだろ?」

「ブラッドの皆さんにしては早すぎますよね」

「あ、私見てきますよ」


エミールと言い争っていたエリナが食堂を出る。…暫くして帰ってきたエリナは、頬を赤らめ息を切らせ何やら興奮状態で、口早に告げる。


「こ、コウタ隊長ー!アリサ先輩!か、かか帰って、来ててっ!」

「エリナちゃん、落ち着いてください。ブラッドが帰ったんですか?」

「ちっちがいます!…神薙先輩達がっ帰ってきました!」


言うが早いか。開け放たれたままの扉から、ひょこりと見知った顔があらわれる。


「や、みんな元気?」

「あの、突然失礼します…」


神薙ユウと神薙バースト。
極東において名をとどろかせる2人の突然の帰来に空気がどよめく。


「ユウにバースト…?なんだなんだふたりそろってどうした?」

「たまたま近くまで来てて…バーストがハルさんの誕生日だって言うんで来ちゃいました。といっても、もう行かないとなんですけど…」

「ハルオミさん、その…これ…私達からです。切り子ガラスというものらしいです。」

「ハルさん、よくお酒飲んでるからって、バーストが決めたやつなんです」


バーストからプレゼントを受け取りハルオミは嬉しそうに笑う。
…実は先日、昔から使っていたグラスを割ってしまっていて気分が沈んでいた。今日の虚しさもそれが原因だったのかも知れない。


「忙しいのにごめんなあ。あと、これありがとな」


シンパシーというやつなのか、無意識にこの2人は周りを機敏に察知し、こんな風に対処してみせる。
こういうところは、なんというか流石だと感服する。


よしよしとユウとバーストの頭を撫でる。反応は違えど、照れたような仕草は兄妹全く同じだった。


「さ、行く時間までコウタとアリサに構ってやろうぜ。2人ともうずうずしてるみたいだしな」


それを合図に神薙兄妹はコウタやアリサをはじめとした後輩達に囲まれる。

それを横目に見つつ、ハルオミは2人から貰ったグラスをムツミに渡し、丁寧に注がれていく酒を眺めていた。





(ええ!噂の神薙さん達来てたんですかあ!?)(ああ。もうクレイドルの任務に戻ったよ)(また会えなかった…!やっぱりアラガミってタイミング悪すぎ!)





_


[*prev] [next#]

[ 戻る ]


_
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -