一目惚れの話





「ふあ…」


欠伸をひとつして、口に入っていたガムをあやうく飲み込みそうになった。危ない危ない。


「、…だから…待ってる……行ってて…」


声のする方を見ると同い年くらいの男女2人が話しているのが見える。えーと、たしか同期は他に2人いたはずだしあの二人かなあ、なんて思いながらじっと眺める。
暫くして1人がどこかへ走っていき、女の子だけが歩いてきた。


「…!」


ばち、と目があった。思わず呼吸を忘れる。


「? ……」


やばい。これはやばい。
何がって…超ストライク。好みど真ん中。
いやいや、待て。外見が良くても性格があれな子は嫌だと勝手に1人で盛り上がる。


「よ、よお、あんたも新人?」

「! ……」


女の子はびくりと肩を跳ねさせて固まる。困ったように、絶対に愛想笑いだろうけど笑って、こくりと頷いた。…あ、やばい可愛い。


「えーと、ああそうだガム食べる?」


ポケットを漁って、しまったと思う。これ、最後の一個だったっけ。


「ご、ごめん…もう無かった」

「……」

「あ…」


くすり、と笑った。愛想笑いじゃない。ああ、なんだこれ、顔あっつい。


「っ、俺は藤木コウタ。あんたは?」

「…、」

「お待たせー」


女の子が口を開いた瞬間、さっきまで一緒にいた奴が女の子の肩を叩いた。


「…あれ、君は…」

「お前らと同期の藤木コウタ。ちょっととはいえ、俺の方が先輩ってことで、ひとつよろしくな」

「コウタだね、よろしく。俺は神薙ユウ。それにしても、バースト、よく話せたね」

「……」


名前、バーストって言うのか。出来れば直接聞きたかったな、うん。
あれ、女の子がユウから目をそらす。え、何、仲いいわけ…?それとも止めるべきなのか?


「え、もしかして話すとこだった…?わああごめん! 拗ねないでよ。ほらほら、バースト自己紹介しよう?」


ユウに急かされて、バーストがこっちを向いた。


「初めまして、神薙バーストと言います。これからよろしくお願いします」

「……っ」


…反則だろ。
態度は極度の人見知り。
なのに、凛とした声。

どくどくとうるさい心音を聞きつつ、この日から俺は長い片想いを始めた。



(てか、え?神薙?)(俺たち兄妹なんだ)(マジで!? よかったあああ)(?)



…ていうのがバーストとの出会いだったんだけどさ!

とりあえず話が雑ですね。
あと顔に一目惚れなんですか?ドン引きです。







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