タツミさんと第一部隊長
※設定とは別の第一部隊ヒロインちゃん
「ヒバリちゃんただいま!」
タツミ先輩は、アナグラに戻るとともに真っ先にヒバリさんのところに走っていってしまう。
「今日のミッション終わったぜ!」
「お疲れ様です」
うう、いいなあ…。タツミ先輩に好きになって貰えるなんて、ヒバリさんが羨ましい。
「……」
「あ、あの、バーストちゃん?」
カノン先輩は私とタツミ先輩を見比べながら戸惑った表情。
「…俺は先に部屋に戻るかな」
「あっちょっと!」
ブレンダン先輩は、巻き込まれたくありませんとばかりに先にエレベーターに向かっていく。残されたカノン先輩はさらに困ったように私を見たりタツミ先輩を見たり。
「いいなあ…」
ヒバリさんをご飯に誘うタツミ先輩。タツミ先輩にご飯行こうなんて言われたら私だったら即了承しちゃうなあ…。
「そう、ですね。また今度」
「た、タツミさん!じゃあ私たちとご飯行きませんか〜!」
いつも通りヒバリさんが断ったのを見計らって、カノン先輩がぐいぐいと私の腕を引いてタツミ先輩に近づく。
「お前らと?」
「はいー!私もうお腹ぺっこぺこなんですよー!」
肩を落としていたタツミ先輩は振り返って私とカノン先輩を見る。「か、カノン先輩、ぐっじょぶです!」なんて心で思いながらどきどきとタツミ先輩の返事を待つ。
「カノン、今日はお前の誤射多かったから駄目だ!」
「うっ、す、すみません…」
へにゃへにゃと萎んでしまいそうな声で誤ったカノン先輩。「ごめんねえ…!」と私まで誤られてしまう。「いいんです」と小さく笑って返す。仕方がない、けれどやっぱり残念だなって。
「てわけで、俺はこいつと飯行く」
「えっ」
ぽふ、と頭に置かれた重み。それが目の前に立つタツミ先輩の手だと気付くのに数秒。
「えっあのっ」
「最近、お前頑張ってるだろ?つい最近、新型が来ますーなんて言ってたのに気付いたら第一部隊のリーダーだぜ?」
「あ…」
「俺の教え子だって自慢して回れるんだからよ」
私の神機はショートブレード。大型のブレード使いが多い中、入りたての私の指導を名乗り出てくれたのは第二部隊隊長であり、ショートブレード使いであるタツミ先輩だった。
「もう俺と肩を並べるんだもんなあ」
「先輩方のおかげです…!それに、私、今だってただ必死なだけで……今日は、ミッションに同行して頂いて…ありがとうございました」
リンドウ先輩の後任になってから、ただ必死だった。今日のミッションも人手の足りない第一部隊を見たカノン先輩が気を利かせて第二部隊の方に話を通してくれて…ブレンダン先輩も当たり前のように了承してくれて…。第一部隊は私の自慢だけれど、アナグラにはやっぱり良い人ばかりだと思う。
「…リンドウさんのことは俺達だって諦めてねえよ。部隊が違ったって俺たちは仲間だ。遠慮なんてすんなよ!」
「はいっ!ありがとうございますっ…!」
「よしっじゃあ飯行くか!今日は俺が奢ってやるよ」
「い、いいんですか!ありがとうございますっ」
私たちを見守っていたカノン先輩もやっと落ち着いたように笑顔を浮かべた。カノン先輩には感謝しきれないなあ。
「じゃ、ヒバリちゃん!またあとでな!」
「いってらっしゃい」
にこり、と本当に優しい笑顔を浮かべたヒバリさんとカノン先輩に見送られながら、タツミ先輩と並んでアナグラをあとにしたのでした。
(ごちそうさまでした!)
(おう。また頑張ってんなと思ったら飯奢ってやるよ)
(!!!)
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