さんにん





「バースト、手をつなぐぞ!」

「分かりました」


差し出されたバーストの手をシオは嬉しそうに両手で掴む。


「…お?」

「シオ…?」


シオはバーストの手を握りしめたままぱちぱちと瞬きをしていたかと思うと目を閉じる。


「何してんだ、さっさと帰るぞ」

「そーまー、バースト、いたいっていってるぞ!」

「ああ?」


先を歩き始めていたソーマは怪訝そうに振り返る。


「お前、怪我でもしたか?つっても自分から突っ込んでいつもしてるな」

「いえ…大丈夫です。シオ、私は痛くないですよ」

「ううんー。ここ、いたいっていってる」


シオはそっとバーストの心臓近くに手を当てる。


「すきなひととはなれちゃって、いたいんだな」

「!」


咄嗟にシオの手を振り払ってしまう。「あ…」小さく呟き、ごめんなさい、と謝る。


「すみません…、ごめんなさい。素材回収に行きますので先に行ってください」

「おい」


素早く背を向けて歩き出したバーストにシオは首を傾げる。


「バースト、どこ行くんだ? シオもいく!」

「お前がついて行ったら意味ないだろうが」

「お?」

「ああっ、ったく」


めんどくせぇと吐き捨て、遠くなるバーストにむき直す。


「リーダーっつうのは、何でも1人で背負い込みやがる。お前らは俺とは違って人間だろうが。もっと群れろ」

「……」


慣れないことをしていると自覚があるのか、ソーマは普段より苛立って見えた。


「分かったなら帰るぞ」

「すみません…」

「かえるのか?じゃあ、くっつくぞ!」

「あ?」


シオはバーストに走り寄ると手を握る。今度はバーストも一緒に走り、もう片方でソーマの手を取る。


「くっついたな!」

「…くっつきましたね」

「…これはくっついたのか?」

「くっついた!もうバーストはいたくないな!」

「何の話だ…」

「前にコウタが小さい頃に骨折をしたときの話をしていましたが、あれでしょうか」

「おー!コウタ、くっついたらいたくないっていってたぞ!」

「だいぶ違うだろ…」


ソーマは溜め息をつきながらも手を振り払いはしなかった。バーストも何も言わずに、シオの手の不思議な体温を感じていた。





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