あおいはる
「俺、おんなのこのそーゆーとこ、まじで大好き」
「!」
「あ!え…っち、違っ…いや、違くはないんだけどっ」
「……」
何気ない世間話をしていたかと思えばコウタの一言により、見る見るおんなのこの顔が赤くなっていく。
2人が付き合いだした奇跡の日から一週間ほど経ったが、いつまでも本人達の初々しい様子を微笑ましく周りが見守る。
「あいつらやっと付き合いだしたのかあ」
「認めたくないですけど、その通りです」
久し振りにアナグラに帰ってきていたリンドウは、元第一部隊であるソーマとアリサと3人で食事をしながらカウンターにいるコウタとおんなのこを眺めている。
しみじみとしているリンドウとは対照的にアリサは少しだけ悔しそうに見える。
「間を一席あけてるあたりが初々しいねえ」
「……」
どこか楽しそうなリンドウと興味なさげなソーマ。普段は大人びているアリサも今は昔のように子どもっぽい分かりやすい顔をしている。
どうやら親友である2人が付き合いだしたことが嬉しくもあり寂しくもあるらしい。
「あ、そ、そういえばさ、この間おんなのこがミッション行ってたときにやってたユノさんの放送撮っておいたんだけど、一緒に見ない?」
「! は、はい。見たいです」
「よし!じゃあ行こう」
気まずさを打開することに成功したコウタは嬉しそうに立ち上がって勢いのままおんなのこの手を取る。
「!!」
「え…?うわあああごめん!」
コウタが慌てて手を離す様子を見ながらリンドウは笑いを堪えている。
「あいつら昔は普通に手え繋いでなかったっけか?」
「俺が知るか…」
「…同感です」
「さすがにコウタがかわいそうな気がしてきたなあ」
やれやれとリンドウが立ち上がった瞬間、慌ただしい放送が入る。
『外部居住区のゲート付近にアラガミの反応を確認。小型だと思われますが、第二部隊は出撃準備をお願いします。繰り返します……』
「…またアラガミか。そういえばあそこらへんの壁の強化材料リストも出てたっけ…」
モニターに映し出された場所を確認しながらコウタは冷静に呟く。
「行きましょう、コウタ」
「えっ?今回は第二部隊が出撃だよ?」
「小型とはいえコウタの家族が心配です。事態の沈静が確認出来次第、壁の強化材料を調達しに行きましょう」
「おんなのこ…」
おんなのこはカウンター席から立ち上がり、感動しているのか動き出さないコウタの手を取って足早に動き出す。
「おんなのこ…!? て、手がっ…」
「榊博士に強化材料のリストをもらいに行きましょう。それから、リッカさんに神機を…」
「わ、分かった!行こうっ」
ばたばたと手をつないだまま走っていってしまった2人を見ながら、リンドウ達は顔を見合わせて笑う。
「相変わらずみたいだな。コウタもおんなのこも」
「ああ。肝心なとこは変わってない」
「そうみたいですね」
「よし、久々に元第一部隊を結成するか。ソーマ!アリサ!出られるか?」
「ああ」
「はい!行きましょう。ムツミちゃん、ごちそうさまでした」
「いってらっしゃい!」
手を振るムツミに送り出されながら、3人も支部長室へ向かっていった。
(…以上が強化材料だ。それでは頼んだよ、元第一部隊)
(ああ、任されるぜ。俺の部下達は優秀だからな)
(おんなのこ?大丈夫だからこっち向いてよ)
(こいつらさっきから何してんだ)
(コウタが言うにはおんなのこがコウタの手を無意識に握っていたことの反動らしいです)
(……よそでやってくれ)
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お久しぶりです!
今回は企画にご参加頂き、ありがとうございますー!
やっと付き合いだして一週間目のコウタさんと主人公ちゃんです。
クレイドルが出したいがためにちょっと無理やりな感じになってしまいましたが、微笑ましく思いながら読んでいただければうれしいです(*^^*)
他のリクエストは少々お待ち下さいませ…!
いつもコメントを頂くだけでなく、企画にも参加いただいて、本当にありがとうございました…!
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