好きな子はいじめちゃうとかそんなやつ
※ハルオミ(→)←♀主
※第一部隊所属♀主ちゃん
「なあ、」
カラン、とグラスの中の氷がなった。何か大事な話があるらしいハルオミの誘いに応じて食堂のカウンター席に並んで座り、律儀にもおんなのこはハルオミに身体を向けたまま真剣な表情で頷いている。
「お前は、ニーハイってどう思う?」
「…すみません、もう一度お願いします」
「ああ、分かった。お前がニーハイについてどう思うか聞かせてくれ」
「……は?」
一度目は聞き間違いかと思ったが、どうやらそうではないらしい。ぽかんとした様子のおんなのこを見ながら、ハルオミは真剣な顔で続ける。
「絶対領域、僅かに見える白い太股…」
「ちょ、ちょちょちょっと待ってください! ハルさん、たしか大事な話があるからって…!」
「ああ。間違いなく大切な話だ。お前に…」
グラスの氷が、再びなった。
これからミッションがあるハルオミにお酒は駄目だと説得してムツミにソフトドリンクを頼んだ筈なのに、お酒だったのかと一瞬疑った。だが、確認したところ大事な話は別にあるらしく、ハルオミなりの社交会話だったのかと納得する。
「お前に、ニーハイを履いて貰いたい」
「はい!……はい?」
「よし、んじゃそうと決まればさっそく…」
「いやいやいや、ハルさん待ってください! 何でそうなるんですか!まさか大事な話ってそれですか!?」
「ああ。ものすごーく大事だろ?」
「どこら辺がですか!? …い、嫌ですよ私! 履きませんよ…」
「そうか…。残念だなあ…おんなのこなら絶対に似合うと思ったのに」
う…、と小さく息がつまる。好きな人にそんなこと言われたら誰だって弱いに決まっているじゃないですか、と心の中で毒づく。ニーハイが頭をよぎる…。卑下ではないけれど、自分には似合わないと思う。
「お、お世辞言ってもだめですからね」
「じゃあ仕方がないな…。無理矢理ってのは俺のポリシーが許さないしな。あ、そういえばさっきエントランスにブラッドの副隊長が居たっけな…」
「!」
「ダメ元で頼んでみるか…」
「は、ハルさん!やっぱり私履きます!」
あの日、自分には出来ないような高難易度のミッションにハルさん達と行って、ボロボロになりながらも笑顔で帰ってきたあの子。
あれからハルさんはどこか吹っ切れた顔をするようになった。
「おお?急にどうした」
「は、ハルさんのために一肌脱ぎますっ!」
「さすが俺の見込んだ女だ!よし、じゃあさっそく…これなんだが…」
「は、はい!」
ハルオミが上着の内ポケットからニーハイを取り出す。ハルさん何で持ち歩いているんですか…、と。ほんの少し泣きたくなった。
「あ、あの、着替えてきますから、ここにいてくださいね?」
「おお、楽しみにしてるぜー」
「絶対居てくださいね?約束ですからね! い、行ってきます…」
ハルオミの体温の残る黒と白の縞模様のニーハイを持ち、部屋に走っていくおんなのこを見ながら、ハルオミは悪戯っぽく笑っている。
「…あれ?ハルさん、おんなのこ知らないっすか?」
「おお、コウタ君じゃないか。おんなのこなら俺のために一肌脱ぎに行ったぜー」
「ちょっハルさん何してんすか…。あんまし俺んとこの子いじめないでくださいよー」
「いやあ、あんまり一生懸命だからつい構いたくなってなあ」
「…あの子の気持ち、知ってるでしょ。あんま傷つけないでくださいよ」
眉を寄せるコウタは相変わらず同期のあの子と重ねて想っているのだろう。一途だねえ、とハルオミは苦笑した。
「ま、安心しろって。コウタが心配しなくても俺もちゃんと考えてるからさ」
「本当っすかそれ」
「本当だって」
くつくつと喉で笑いながら、グラスに残った残りをあおる。
自分を見つける度にぱあっと顔を輝かせ、子犬のように走り寄ってくるおんなのこを思い浮かべる。
大人になってしまった自分には、少しだけ眩しくて遠く感じるあの子のことを。
「…流石に手ぇ出すのは早いだろ」
「え?なんか言いました?」
「いやあニーハイ楽しみだなあ、コウタ君」
「まじあんた何やってんすか!?」
ぎゃあぎゃあと騒ぐコウタと聞き流すハルオミの元に忙しく走り寄ってくる足音がしていた。
(ハルさん!お待たせしまし…きゃあああコウタ隊長なんで!!)(これから一緒にミッションだろ!ああもう時間ないから行くぞ!)(このままはいやあああ)(おお、おんなのこ良く似合ってるぞー)(ハルさんのばかあああ変態いい)
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初めまして!
今回は企画にご参加頂き、ありがとうございました!
今回のお話は、ハルオミさんにアタックしている主人公ちゃんと、自分よりもかなり年下な主人公ちゃんに惹かれつつまだ手が出せないけれど、自分を好きでいて欲しいハルオミさんなイメージです。
ハルオミさんはなんだかんだ大人なんだろうなーと思ってこんなお話になりました(*^^*)
…甘くなくてすみません…。
今回は企画にご参加頂き本当にありがとうございました!
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