未来創造

※GE2フライングの設定な♀主ちゃん





「最近のジュリウス隊長は、とにかく忙しそうで…。2人っきりで会える時間も減っちゃって。で、でもっ、それは仕方ないことだって分かってます…! それに、わたしに会うよりもちゃんと休んで貰いたいって思うんです」

「そう言ったんですけど、隊長は無理してでもわたしとの時間を作ってくれていて…。だから、わたし思ったんです!」


だったら…わたしが、ジュリウス隊長を休ませようって…。


「…というわけなんです。コウタ隊長、ロミオ先輩、どうすればいいでしょうか」

「疲れてるジュリウス隊長を癒やしたいのかあ…そうだなあ…」

「相手はジュリウスだろー? とりあえずおんなのこが隣りにいればいんじゃね?」

「ロミオ先輩適当すぎ!私は真剣なんですっ! コウタ隊長何かありませんか…?」

「うーん…」


暫く考えた後、思案しながらコウタが出した結論は…。


「隊長、隊長っはやくはやくー!」

「分かったからあまり押さないでくれ。つまづきそうだ」

「大丈夫ですって!」


それから2日後のジュリウス隊長がお休みの日。本当はわたしがお仕事だったのに、計画を知ったシエル先輩が代わりを申し出てくれたおかげで、フライアに残るブラッドはジュリウス隊長とわたしの2人きり。

ぐいぐいと隊長の背中を押してエレベーターまで連れて行く。庭園のある階のボタンを押して、しばらくすると目的地に到着。エレベーターのドアが開くと、あらかじめみんなに手伝って貰いながら準備しておいたピクニックのセットがあらわれる。

戸惑った表情のままエレベーターで固まっているジュリウス隊長の腕に自分の腕を絡ませてエレベーターから脱出した。


「何が始まるんだ」

「えへへ、ピクニックです!」


ジュリウス隊長に初めて出逢った思い出の木の下に敷かれたレジャーシートの上までご案内。


「隊長座って下さいー!」

「……」


私が座っても立ったままのジュリウス隊長に笑いかけると、少しだけ笑って私の横に座ってくれた。


「ジュリウス隊長、今日はなんでもしますからゆっくりして下さいね」

「いきなりピクニックなんてどうしたんだ?」

「たまにはいいじゃないですか!ね?」

「…そうだな」


たまにはいいか、と呟いた隊長はいつもよりずっと無防備で…つい近づきたくなって、ぺたりと隊長の肩に寄りかかる。
ゆっくりと背中から肩に腕が伸びてきて、そのまま肩を引き寄せられ、隊長もわたしに寄りかかってくる。


「眠いですか?」

「少し、な…。ロミオやナナの言っていた通りだな…お前といると落ち着く…」

「眠かったら寝ちゃって下さい。そうだ!膝枕しましょうか?」

「ん…いや、起きているから大丈夫だ…。…ああ、本当に色々用意してくれたんだな…何か食べるか?」

「駄目です、ちゃんとお休みしましょう?」


隊長の首に腕を回して、胸元に頭を引き寄せる。少し身長差があるせいか、隊長は窮屈そうに笑って、観念したのかそのままわたしの膝に頭を乗せてくれた。嬉しくなって隊長の頭を撫でるとくすぐったそうに目を細めてから撫でていた手に口づけられる。


「おんなのこは、」

「はい?」

「立派になったな」


慈しむように何度も何度も手に唇を寄せながら、隊長が優しい声で呟く。ゴッドイーターになってから、重い神機を振り回しているせいか手には繰り返し豆ができ、お世辞にもきれいな手とは言えないと思う。
なるべく手袋をしたりと対策はしているけど、それだけでは防ぎきれない。でも、隊長もロミオ先輩もギルさんもコウタ隊長も、豆だらけの手は頑張っている証拠だって言ってくれたりして、あんまり気にはしていない。


「立派、ですか?」

「ああ。入ってきたばかりの頃は、手の掛かる新人が来たと思ったが…」


隊長の言葉に苦笑する。今だって迷惑かけてばっかりですけど、と答えると、隊長もおかしそうに笑った。


「ははっ、そうだな。でも、真っ直ぐな姿勢はお前の長所だろう」

「そう、だといいんですが…」

「おんなのこの真っ直ぐな性格には、俺だけじゃなくて、ブラッドのみんなが救われているんだ。自信を持っていい」

「えへへ、ありがとうございます! 隊長のお嫁さんになっても恥ずかしくないように花嫁修業も頑張らないとですね!」

「っふ、俺は不器用でもあまり気にしないが?」

「駄目ですよー。お料理ができたほうが、ミッションが終わったらみんなにお弁当つくって一緒に食べたりできますし」


隊長の頭を撫でながら、やりたいことを指折り数える。


「子どもにはふりふりのかわいい服作りたいし」

「男の子だったらどうするんだ?」

「男の子なら隊長がきてるみたいな格好いい服がいいです!」

「子どもは動きやすい服の方がいいと思うが…」

「隊長、その服でミッション中に動き回ってるじゃないですか」

「まあ、特殊な素材を使っているからな」

「私と隊長で、素材を集めれば問題ないです! あ、子どもが大きくなったら絶対にここでまたピクニックしましょう? それで隊長と初めて会ったときの話して…」

「子どもに惚気話をするのか?」

「パパは昔から格好よかったんだよってお話をするんです」


隊長は相変わらず柔らかい顔をしたまま、話を聞いてくれている。

…ここで、初めて会ったとき。
隊長と生涯過ごすことになるなんて思いもしなかったです。

うん、でも、考えたら、すごいですよね。
ゴッドイーターになれることだって、珍しいのに、さらに適合の難しいブラッドになれたからこそ、隊長と出逢えた。


「…おんなのこのする話はみんな幸せだな」

「幸せですよ。隊長とわたしで、幸せになりましょう?」

「…そう、だな。そうなれたら、いいな」

「なるんです。未来は、自分でつくれます!」


隊長は目を見張ってから、柔らかく、優しく、安心した表情をして、頷いた。


「…おんなのことなら、きっと出来るな」

「はい!」


もう一度わたしの手に口づけた後、隊長はゆっくりと起き上がる。隊長あのね、呟いた言葉は重ねられた唇によって最後まで言い切ることなく、のみこまれていった。





(…好きだ)
(…好きです)




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初めまして!
企画にご参加いただき、ありがとうございました(^^)

リクエストを頂いた当時、発売前に書いていた短編の方を公開していたため、フライング時の設定の♀主ちゃんとジュリウスさんが付き合ってる感じなお話にしてみました。

甘々かは、非常に微妙になってしまいましたが、気に入っていただければ幸いです。

遅くなってしまって、すみませんでした…!
また機会がありましたらよろしくお願いします(^^*)

今回は、リクエスト本当にありがとうございました!



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