Reply・・・?




空はどこまでも青く澄み渡り、神機の金属部分に太陽の光が反射して目を細める。


『…目標アラガミ、捕食中です』


ヴァジュラが警戒しながら周りを見渡し、先程まで動き回っていたオウガテイルの群れの亡骸を食い荒らしていく様子を物陰に隠れ、確認する。

向かいで神機を構えていたコウタに視線を向けると、小さく頷き、自分も頷いて応える。


『奇襲作戦を決行します。作戦開始まで、あと5秒です』

5、4と始まったカウントダウンを聞きながら神機を握り直し、構える。


『3、2、1』

「行くぞ!」

「はいっ!」


コウタの合図に合わせ、同時に物陰から飛び出す。
ヴァジュラに向かって走り、足音に気付いたヴァジュラが振り返ると同時に地面を蹴って神機を頭に数発叩き込む。
ステップで軽く後ろに引くと、コウタの放つバレッドがヴァジュラを貫き、後退させた。
それを予測して既に構えていた神機からはあと一秒もしないうちにチャージクラッシュが放たれる。


「いきます!せーのっ」


確かな手応えがして、ゆらりとアラガミが体勢を崩した隙をついて捕食をする。


「コウタさん、受け渡しますよ!」

「任せとけって!」


素早く神機を切り替えてコウタに向けてアラガミ弾を放つ。


「よし、決めるぞ!」

「はいっ!」


2人のサポートをしていたヒバリは空いていた片手でコンピューターに今日のミッションも問題なく終了と打ち込み、そっと笑みを浮かべた。





「…だから、駄目だって」

「うう、でも…」

「でもじゃないだろ。駄目だ」


ラウンジでコウタとおんなのこのやり取りが繰り返される。
ミッションの時とは違い、コウタに嫌々と首を横に振るおんなのこの目の前には、皿の端によせられた野菜があり…コウタはそれを注意しているらしかった。


「それ残したら野菜を作った人にもムツミちゃんにも失礼だろ」

「わ、わかっています、けど…」

「食べ物があるだけでありがたいんだから」

「ううう…」


おんなのこはリンドウ復帰後に第一部隊に配属された新人で、当時まだ旧型だったおんなのこはコウタとミッションを組むことが多かったためか第一部隊のメンバーの中でも特にコウタに懐いている。
新型神機に適合した今も旧型だったころの経験を生かし、コウタを中心とした旧型神機使いとの連携は群を抜いていた。


「…返事は?」

「…は、はあい…」


大好きな先輩であるコウタに言われたら仕方がない。止まっていたフォークで野菜を軽くさし、持ち上げる。口元まで運んだもののなかなか口に入れられないおんなのこを見て、コウタはため息をつく。そして、いつも妹が好き嫌いをしていた時を思い出し、手をたたいた。


「コウタさん…?」

「ほら、あーん」

「!」


おんなのこの皿から自分のフォークで野菜をすくい上げたコウタが顔を近付ける。


「食べさせてやるから、口開けて」

「い…」


嫌だと言おうとして、でも、悪気のないコウタの顔を見てしまうと、このまま困らせる訳にもいかないと思い直す。
そっと口を開けると、口に野菜を放り込まれる。むぐむぐと口を動かすと、野菜の苦味は一瞬で、あとはおいしかった。


「おいしいです…!」

「な?ムツミちゃんは料理の天才だから何食ってもうまいぞー!」

「はい!」


残りの野菜も結局コウタにすべて食べさせてもらい、手を合わせてごちそうさまをする。


「コウタさん、ありがとうございました!私、これからはいっぱい野菜食べます」

「うん」


満足したのかにこにこと笑うおんなのこの顔をじっと見てコウタは口を開いたり閉じたりを繰り返す。
不思議に思って首を傾げると、あのさ、とコウタが呟いた。


「おんなのこはいつも俺の言うことには素直に頷く、だろ」

「はい!コウタさんは私の憧れなんです」

「それは素直に嬉しいし、頑張るぞーってなるんだけどさ」

「?」


歯切れの悪いコウタにまた首を傾げると、意を決したように真面目な顔をしたコウタと目が合い、どきりと心臓が跳ねる。


「俺が先輩だからなんでも肯定してくれるの?」

「えっ…」


思ってもいなかった言葉に目を白黒させ、慌てて首を何度も横に振る。


「ち、違いますっ!もちろん、コウタさんだからっていうのもありますけどっ、ちゃんと私の意思です…!」

「本当に?」

「本当に、です!」

「そっか…よかった」


にこり、と人懐こい笑顔に顔が赤くなる。コウタのこの表情がおんなのこは何よりも大好きで、この表情が見たいからゴッドイーターとして頑張ろうと思える理由のひとつで。


「じゃあ、さ…おんなのこの意思で答えてほしいんだけど」

「はい、なんですか?」

「第一部隊のこと好き?」

「はい!」

「クレイドルのことも好き?」

「はい!」

「俺のこと好き?」

「はい!」

「俺と付き合ってくれる?」

「はい!……あれ?」


頭の中で何度もコウタの言葉を反復する。目の前にいるコウタは少しだけ困ったように笑う。


「…返事は?」


しばらく口をぱくぱくとさせて固まっていたおんなのこは、大好きなコウタにひとつの返事をするため口を開いた。





(私、私は…っコウタさんのことっ…)





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はじめましてー!
今回はリクエストありがとうございます(´`*)

コウタさんに懐いている主人公ちゃんとそれを素直に喜びつつ自分が先輩だから嫌でも嫌って言えないんじゃないかと不安なコウタさんのお話でした。

さん付けなのは、GEB仕様のためです。主人公ちゃんはその頃から第一部隊にいたので、今回は先輩ではなく、さん付けにしてみました(^^)

ほのぼの?甘い?とちょっと中途半端気味かもですが、気に入っていただければうれしいです…!

また機会があればリベンジさせてくださいー!
企画へのご参加、ありがとうございました!



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