片想い同盟



※バーストの夢設定を引き継いでいます
※バースト夢主=キグルミさん


「だからさ、まじ超可愛いんだって!」

「コウタ隊長ベタ惚れじゃないですかー!」

「いやいやだってさ!いつも俺らのために無茶ばっかしてるから、ああ俺がちゃんと見守ってないとなって」

「…はあ…」


ミッション終了後、庭園にて。自分の上司と、同期の少女との終わらない恋愛話にエリナはため息をつく。お互いの意中の相手の自慢を延々と聞かされ、いい加減嫌になってきた。こんな事になるなら、シエルのように早々と部屋に戻ればよかったと思う。


「…第一、コウタ隊長よりキグルミ先輩の方が階級上だし…」

「ああ、でも何か分かります!力になりたいなあって思いますもん!」

「だよな!!さすがお前は話がわかる!」


ぽつりと呟いたエリナの声は話に夢中な2人には届かなかったようだった。


「今は、第一部隊の所属じゃないんでしたっけ?」

「そうそう。遊撃部隊って呼んでる部隊が極東にあんだけど、そこに所属してる…はあ…」

「コウタ隊長…?」

「…キグルミが遊撃隊に入ったのってそこを作った人に惚れてたからでさあ…ま、その人結婚したんだけどね。…なんか報われないよなー」

「……」

「あっごめんごめん!別に片想いって叶わないとかじゃなくって!なんつーか…とにかくお互い諦めずに頑張ろうぜっ!」


鼓舞すると同時にばしばしと背中を叩かれる。これはコウタの癖のようなもので、痛いですってば!といつも通り返す。


「悪い悪い!さってと、じゃあ★の話も聞かせてよ」


待ってましたと言わんばかりに次は★が喋り出す。ブラッドの隊長のどこが格好いいだとか、世話焼きなんだとか…もうお腹がいっぱいだとエリナは思う。


「それに、この間のミッションで初めて笑ったとこ見たんです!もう、すっごい嬉しくって…!!」

「へえ!やったじゃん!確かにお前んとこの上司たちって、あんまり表情変わんないもんなあ」

「そうなんですよー。ジュリウス隊長もシエル先輩もあんまり顔に出なくて…まだまだ私が頼りないから頼れないのかなあって」

「まあ、それも無くはないだろうけどさー。★の明るいとこすっげー良いと思うし、そのまんま頑張ればいいと俺は思うぞー?」

「そう、でしょうか…うんっそうですよね!やっぱりコウタ隊長と話すの楽しいです」

「俺も俺も!周りに同じ境遇の奴が居なくてずっと誰かに言いたかったんだ。キグルミには言えないしさー」


わいわいと盛り上がり、本当に終わりが見えない。エリナのように事情を知らなければ、2人が好きあっているように見えるくらい、そりゃもう楽しそうなコウタと★。


「随分と楽しそうだな」

「わあ!?」


びくりと★が飛び上がる。急いで振り返るといつの間にミッションから帰ってきていたのかジュリウスとキグルミの姿があった。


「えっ、た、隊長!? うそっ、お出迎えしようと思ってたのに…! 早かったですね」

「ああ。キグルミのおかげで早く終わった。…今日は同行して頂いて、ありがとうございました」

「……」


ふるふるふる、と頭を横に振るキグルミ。いつものことながら本当にしゃべらない。


「やっぱり、キグルミさんはすごいなあ…」


ぽつり、勝手に★の口から言葉が出る。ブラッドの中でも桁外れの力を持つジュリウスと肩を並べるキグルミを羨ましく思う。


「まあ…さ、キグルミは俺の同期で3年のキャリアがあるからさ!」

「コウタ隊長…」

「こういう意味でもお互いに頑張ろうぜ!な?」

「…はいっ」


あっという間に笑顔になった★の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。エリナから見れば兄が妹の相手をしているようにしか見えなかったが、はたから見ればやはり異様に仲が良く見える。


「…その、なんだ」

「?」


コウタと★のやりとりを見ていたジュリウスは、少しだけ表情を固くし、★を見る。


「俺は基本的に恋愛は自由だと思っている…だが、公私の混同はしないようにな」

「…へ?」

「え…?」


コウタと★は顔を見合わせ、ジュリウスはエレベーターに向きを変えた。


「えっ、ちょ、隊長!? どういう意味ですかっ」

「つまり、」


エリナはすくっと立ち上がり、スカートについた草をはらう。


「コウタ隊長と★が付き合ってるみたいってことでしょ」

「えっえええ!」

「ちょ、なんだよそれっ!」

「まあ、そういうことだ。じゃあ俺は先に戻る」


すたすたとエレベーターに向かっていくジュリウスの後を★が慌てて追う。


「ち、違うんですっジュリウス隊長! コウタ隊長に私がジュリウス隊長をいかに好きかお話をしていただけで」

「なっ…!」

「私が好きなのはジュリウス隊長ですから!」

「もう分かったからお前はいい加減に場所を選べ! そもそもコウタ隊長にあまり迷惑をかけるな」


遠ざかっていく2人のやりとりを聞きながら、まだまだ先は長そうだとエリナは今日何度目かのため息をついた。



(あ、あのさ、キグル…☆! そういうわけで付き合ってるとか絶対違うから!)
(コウタがずっと応援してくれたように、私もコウタのこと応援しますからね)
(ち、違うんだって…)
(キグルミ先輩が話してるの珍しい…!)




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