私は哲也の、その大きなてのひらが彼を構成するものの中できっと一番大好きなのです。彼の塔のように高い身長や、空のように広い心と同じように大きなてのひらが。素振りを一日に五百はする彼の手で頭を撫でられるその瞬間がなにより好きです。彼の努力が豆となり具現したてのひらと私のおバカな頭が一体化して、私はたちまち頬が緩んでいくのを感じます。

「ひどくご機嫌だな」
「私ね、哲也のてのひらすっごく好きなの」
「そうか、なら」

そう言って差し出されたてのひらを取りそうっと握ると哲也が微笑むので、私は比例してますます頬が緩んでいくのでした。

てのひら/結城哲也/140505

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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