「ユウキくん怒ってる?」


彼女は、まるで子犬のような目をしながらオレを見た。怒ってるに決まってる。だってお前、いっつもヘラヘラしながらミツルと楽しそうに話すし。しかもわざわざオレの前で。いい加減、オレの堪忍袋の緒だって切れそう。軽くにらみつけると彼女は少しおびえたように瞳を揺らした。その姿までかわいく思うなんて、オレはどうかしている。ちょっと頭を冷やしたくなった。このままじゃ泣かせてしまうかもしれないし。とにかくこの場を離れようと思い、自転車にまたがったオレの背中に彼女は抱きついた。


「いかないでユウキくん」


その一言で全部許せてしまうオレは甘いんだろうな。


怒る/ユウキ/110917
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